空十一日目 ページ11
「はー、疲れた……」
わたしは最近、いじめられているらしい。
といっても初めは大したことではなく、物を隠されたり壊されたりするくらい。
ただ、ちょっとずつエスカレートしてきているのだ。
一昨日は無視された。昨日はわたしにも聞こえる声で悪口を言ってきた。
そして今日は、わざとらしく足をかけられた。
大したことではない。それは確かなのだが、流石にこうも続くと疲れる。
それに、これからどんどんエスカレートする可能性だって十分すぎるほどにあるのだ。
「……もう学校行きたくないな、」
そんなことを零したところで、誰にも聞こえてはいない。
こつんと足元の小石を蹴っても、出てくるのはため息ばかり。
わたしは［ごく普通］らしい漫画の主人公でもなければ、白馬の王子様に愛されるようなシンデレラにもなり得な……
「わっ！！」
「えっちょ、何！？」
急に耳元で叫ばれて、思考が停止する。
「わはは、へんな顔ー！」
そうわたしを笑うのは、幼馴染だった。
「はあ……もうちょい静かにできないの？」
「ひどーい、めっちゃ驚いたくせにっ」
ぷくぅっと頬を膨らませる。いやそれお前がやっても可愛くないからな。
「てかさ、雲見た？」
「雲……？」
そのまま、すいっと視線を上げると。
「うおお……」
海賊船のような形をした雲が浮かんでいた。
ちゃんと帆が三つあって、砲台も付いているように見える。
澄んだ青空に映える雲だったが、わたしの意識はついそっちのけ。……いっそ、あれに乗ってどっかに行っちゃえたらいいのにな。
ぼんやりとそんなことを考えていると、わたしの変な空気を察したのか、彼女が口を開く。
「……まあ、なんだ。その、何かあったらいつでも言っていいからね！」
ばしばしと背中を叩かれる。
「ちょっと、やめてよー！」
ぎろっと睨むと、てへへと笑う。
そのとき、ちょっとだけ目頭が熱くなったのは。
砂が目に入っちゃっただけで、あいつの優しさが沁みたとか、そんなんじゃ、ない。
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ねこる。 - えるさん» コメントありがとうございます！わたしの小説で心が透明になるだなんて嬉しい限りです…。もっと色々な表現ができるよう頑張ります！ (2021年10月26日 7時) (
レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - まめふなさん» ありがとうございます！レス遅れてすみません…。お話素敵って言ってもらえて嬉しいです！頑張ってラストまで書きます！ (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
える - なんか単純に綺麗って言葉が出てきました。空の美しい描写、主人公さんたちの感情表現の書き方が綺麗だと思いました。このお話を読んでる間は心が透明になってる感じでした。作者様の書き方尊敬致します。 (2021年10月17日 7時) (レス) @page27 id: cbb903ca6b (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - 丙ののののさん» コメントありがとうございます！空の描写はめちゃめちゃ時間かけたので、そう言ってもらえると嬉しいです…。今後も感激してもらえるよう頑張ります！ (2021年8月16日 8時) (レス) id: 035a026afe (このIDを非表示/違反報告)
丙のののの(プロフ) - 1話目を読み終えたところなのですが…これは…空の描写が美しすぎますね…！くどくないのに美しい情景が伝わる描写…占ツクで初めて見つけました。感激！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 4482ed7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこる。 | 作成日時：2020年6月5日 8時
