空二十七日目 ページ27
あの後。
にごうさんと合流して、女の子はわたしとにごうさんに謝ってくれて。
わたしと女の子はLINEを交換して、そのまま別れた。
そして今、
「あ、」
「……あー、えっと」
近所のスーパーに買い物に来たところ、例の女の子にばったり遭遇してしまった。
「あ、あの、この間の……」
忘れられてたらどうしようと思いつつ、勇気を振り絞って声をかける。
「あの、その節は本当に……すみませんでした……」
伏し目がちに答える姿は、大分気まずそうだ。
……まあ、気が立っていたとはいえ、初対面で殴られるとは思わなかったけど。
「いえいえ、こちらこそ首突っ込んでしまって……」
そこまで言いかけてから、女の子が制服であることに気がついた。
「あ、その制服……」
「知ってるんですか？うちの学校」
驚いたように顔をあげる女の子と、ばちっ、と目が合う。
「……ぁ。すみません」
さっと顔を隠す仕草から、そんなにキツく無い子なのかな、なんて思ったのも束の間。
前髪越しにこちらを伺う目つきからは、警戒の色が滲んでいる。
流石に日常的に人を殴っているわけでは無いだろうけど、もともと少し気が強い子なのかもしれない。
「えっと……うちの学校の隣、です。多分」
「なるほど……」
ロボットのようにぎくしゃくと頷かれ、またしてもしいんとなる。
ええと、何か言わなくちゃ。
「き、気まずい……ですね」
「……は？」
このドアホ。頭の中で、わたしがわたしを殴り飛ばす妄想が繰り広げられる。
緊張感からか、冷や汗がこめかみを伝う。
どうしようどうしようとぐるぐる思考を巡らせていると、
「……ふ」
女の子が頬を緩ませた。
「いや、そんなこと言う人いますか……ふふ、ふっ」
びっくりして思わず固まる。
怒ってないようでよかったと思いつつ、とりあえずこの場から離れたくてじりっと一歩下がる。
「じゃ、じゃあわたしはこれで___」
「あ、あの！」
呼び止められてそろそろと振り返る。怖いからもう何も言わないで。お願いだから。
「この間は本当に……すみませんでした」
バツが悪そうな顔に、少しホッとしてにこりと笑った。
「いえ、もう気にして無いです。そんなに痛みも続かなかったし……」
安堵の表情を浮かべる女の子に今度こそ別れを告げ、それじゃあまたということになった。
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ねこる。 - えるさん» コメントありがとうございます！わたしの小説で心が透明になるだなんて嬉しい限りです…。もっと色々な表現ができるよう頑張ります！ (2021年10月26日 7時) (
レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - まめふなさん» ありがとうございます！レス遅れてすみません…。お話素敵って言ってもらえて嬉しいです！頑張ってラストまで書きます！ (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
える - なんか単純に綺麗って言葉が出てきました。空の美しい描写、主人公さんたちの感情表現の書き方が綺麗だと思いました。このお話を読んでる間は心が透明になってる感じでした。作者様の書き方尊敬致します。 (2021年10月17日 7時) (レス) @page27 id: cbb903ca6b (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - 丙ののののさん» コメントありがとうございます！空の描写はめちゃめちゃ時間かけたので、そう言ってもらえると嬉しいです…。今後も感激してもらえるよう頑張ります！ (2021年8月16日 8時) (レス) id: 035a026afe (このIDを非表示/違反報告)
丙のののの(プロフ) - 1話目を読み終えたところなのですが…これは…空の描写が美しすぎますね…！くどくないのに美しい情景が伝わる描写…占ツクで初めて見つけました。感激！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 4482ed7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこる。 | 作成日時：2020年6月5日 8時
