ハグ ページ7
【玲於side】
西陽でAちゃんがオレンジ色に染まる。
玲於「…え。」
『あの、これじゃだめでしょうか。』
いや
だめっつーか、
これはつまりその
玲於「ハグしてくれるってこと？」
口をぎゅっと結んだままで
こくん、と小さく頷いた。
本気で言ってんの。
俺さ
Aちゃんが明らかに狼狽まくってたから
ずっと
「どーしよう」って考えてんのが顔に出てたから
かわいそーだし
今日は話の続きは聞かないであげようって。
だって困らせたいわけじゃないし。
普通に楽しく喋って帰ろうって。
そう思ってたんだよ。
どさくさに紛れて手繋いだりは
しちゃったけどさ。
浄化してとか言ったけど
別にこーしてほしいっていうのが
あったわけじゃない。
そもそも思いつきで言ってみただけで。
話の流れで
あのアユって子のこと思い出して
そしたら腕組まれたことも思い出して
むかむかしてきて。
Aちゃんだったら
「いたいのいたいの飛んでいけ」とか
困った顔しながら言ってくれんのかなって
そんくらいにしか考えてなくて。
玲於「俺はいーけど。いいの？」
『…この広場では、恋人同士ですので。』
照れてんのか目が泳いでるけど
手は頑張って広げたまま。
その姿に
かわい、って思わず頬が緩む。
玲於「じゃあ、はい。」
広げられた両手の中に入って
自分からAちゃんを抱きしめた。
腕に優しく力をこめると
華奢な体がぴくっと反応する。
…ほっそ。
あ、なんか髪から甘い香りがする。
玲於「…抱きしめ返してくんないの。」
意地悪でそう言ってみると
腕の中のAちゃんの体温がさらにあがった気がして
少し葛藤するような間があってから
細い手が遠慮がちに
俺のTシャツの腰の部分を掴んだ。
ねぇ
これもいつもの優しさなの。
Aちゃん基本
断れない性格だもんね。
それともやっぱファンなだけなの。
友達だから慰めてくれてんの。
ほんとは違うんじゃないの。
『…もっ、もういいですか。』
耐えられない、といった表情で
Aちゃんが体を離す。
…あーあ。
終わっちゃった。
『…いなく、なりましたか？』
玲於「え？」
『…おばけ。』
西陽のオレンジよりもまっかな顔。
恥ずかしさを必死に隠すように
強気に結ばれた唇。
かわいくて
思わず笑っちゃって。
少しむっとしたように
ほっぺた膨らましたAちゃんの髪を
優しく撫でた。
玲於「うん。
全然いなくなった。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここ丸 - 続き気になりすぎて夜も寝れないです！！お時間あれば続き作って欲しいです！お話おもしろかったです (12月11日 0時) (
レス) @page28 id: 567dedf7ba (このIDを非表示/違反報告)
小野 - うわ！！完結ですか？その後のふたりが気になります！！また機会があればエピローグみたいなのお願いします！ (11月30日 0時) (レス) @page28 id: b52f40c2b8 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 素敵なお話をありがとうございました！！ (10月24日 13時) (レス) @page28 id: 185df01673 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴなたまご | 作成日時：2023年10月11日 20時
