繋いだ手と、熱 ページ6
【Aside】
玲於「ほんとに送らなくていーの？」
日が沈んできて
随分と人が少なくなった屋上広場。
そろそろ帰ろっかってなって
2人でベンチから立ち上がる。
『はい。家と事務所じゃ方向真逆ですし。
まだ早い時間ですから。』
「そ。」って玲於くんが
サングラスを外して頭にさした。
だいぶ緊張とけたな。
玲於くんが普通に話してくれたおかげだ。
この前の夜のことがあってから
普通にできるか不安だったけど
玲於くん、
びっくりするくらい
普段通りだったな。
あたしが意識しすぎたのかな。
玲於「はい。」
玲於くんがあたしに向かって
左手を差し出す。
『？
なんですか？』
玲於「恋人どーしなんでしょ。はい。」
そういうと
あたしの右手をぎゅっと握って歩き出した。
『っ！れ、れ、玲於くんっ。』
玲於「なに。」
『こ、これはさすがにその…
何もここまでしなくても、』
玲於「はは、顔まっか。」
…真っ赤にもなるよ。
だって恋人繋ぎだよ。
玲於くんのいつもの悪ふざけなのかな。
だとしてもあたしには
ハードルが高すぎるよ。
『こ、こんなことしてたら
玲於くんのファンが悲しみますよ。』
玲於「Aちゃん、俺のファンなんでしょ。」
『あ、そ、そっか。』
玲於「納得しちゃうんだ。」
少し前を歩く玲於くんの
笑った目尻が見える。
…心臓、うるさい。
玲於「楽しかったね、ここ。」
『はい。』
玲於「子供にも癒されたし
心が浄化された感じ。」
『…心、よどんでたんですか？』
玲於「あー。よどんでるっつーかなんつーか。」
…？
なんだろう。
やっぱり何かあったのかな。
広場の入り口までついて手を離すと、
玲於くんがくるっとこちらを振り返った。
玲於「浄化してくれる？ここ。」
玲於くんが指さしたのは
自分の左腕。
…浄化って？
『おばけでもついてるんですか？』
玲於「んーまあそんな感じ。」
え。
それはあたしでは手に余るんじゃ…。
でも、
玲於くんがあたしを見つめたまま
眉を寄せて腕をさすってる。
恋人同士…
だよね、いまは。
どうしたんだろうあたし。
今日は暑さと
それとはまた別の熱で
頭がほだされたのかな。
でも、それもこれもきっと
玲於くんのせいだから。
玲於くんに向かって両手を広げた。
『…どうぞ。』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここ丸 - 続き気になりすぎて夜も寝れないです！！お時間あれば続き作って欲しいです！お話おもしろかったです (12月11日 0時) (
レス) @page28 id: 567dedf7ba (このIDを非表示/違反報告)
小野 - うわ！！完結ですか？その後のふたりが気になります！！また機会があればエピローグみたいなのお願いします！ (11月30日 0時) (レス) @page28 id: b52f40c2b8 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 素敵なお話をありがとうございました！！ (10月24日 13時) (レス) @page28 id: 185df01673 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴなたまご | 作成日時：2023年10月11日 20時
