恋人ごっこ ページ5
【Aside】
「ねーねー。」
また顔の熱があがりかけたとき、
ふいにかけられた声に
はっと見下ろすと
いつの間にか足元に小さな女の子が立っていた。
苺のゴムで2つにくくられた髪を、揺らしながら
くるくるの大きな目であたしと玲於くんを交互に見てる。
「おねーちゃんたちは
こいびとどーしなの？」
…えっ
『こ、恋人？』
「よーちえんのえほんにかいてたの。
こいびとどーしはいっしょにベンチにすわるんだよ。」
え、絵本？
恋人同士じゃなくても別に
一緒にベンチに座ると思うけど…。
ていうかどんな絵本読んでるの。
ほんとにそれ絵本なの？
女の子ってませてる…。
純粋そうな瞳でじーっと見つめられて
思わず言葉に詰まる。
『え、えーっとね、』
玲於「そうだよ。」
思いがけない言葉に
えっ、って隣を振り向く。
いつの間にか玲於くんは
女の子と目線を合わせるようにして
前のめりに座ってた。
「じゃあおにーちゃんは
おねーちゃんのことがすきなの？」
玲於「そうだね。」
「けっこんする？」
玲於「ふ、おねーちゃん次第じゃない。」
女の子に柔らかい眼差しをむけつつも
おかしそうに笑ってる。
…ちょ、
ちょっと。
そのとき、「すみません！」ってお母さんらしき人が慌てて駆けよってきて
女の子は手を振りながら連れられてった。
玲於「はは、かわいかったね。」
『…そーですね。』
落ち着いて、あたし。
本気にしちゃいけない。
子供相手に話を合わせてあげただけなんだから。
そもそもあたしたち
恋人同士じゃないんだから。
でも今のはなんかずるい。
どきどきしない方がむりだよ。
あーもう落ち着いて、あたしの心臓。
玲於「Aちゃんさ、」
『はひっ。』
玲於「…ふは、はひって。
声上擦っちゃってんじゃん。」
…しにたい。
玲於「そんな緊張しないでよ。
ふつーに喋りたかっただけだから。」
『…え。』
玲於「このあと俺も事務所行くし、
暗くなる前にAちゃん送ったら帰るし。」
…あ。そう。
そうなんだ。
なんか、
肩の力が急に抜けてきた。
玲於「ねぇ。
おもしろいからここ出るまでは
恋人同士にしとこーよ。」
『えっ。』
玲於「子供に嘘ついちゃかわいそーじゃん。」
いや
それは、そうなんだけど…
「ね」って玲於くんが楽しそうに笑う。
…心臓、痛い。
その笑顔に胸がしめつけられる理由から
もう目を逸らせなくなってきていた。
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ここ丸 - 続き気になりすぎて夜も寝れないです！！お時間あれば続き作って欲しいです！お話おもしろかったです (12月11日 0時) (
レス) @page28 id: 567dedf7ba (このIDを非表示/違反報告)
小野 - うわ！！完結ですか？その後のふたりが気になります！！また機会があればエピローグみたいなのお願いします！ (11月30日 0時) (レス) @page28 id: b52f40c2b8 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 素敵なお話をありがとうございました！！ (10月24日 13時) (レス) @page28 id: 185df01673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2023年10月11日 20時
