すきだよ ページ22
【玲於side】
『どうぞ。』
Aちゃんに続いて
真っ暗な玄関に入る。
懐かしい、Aちゃんの部屋の匂い。
静かな暗闇の中で
初めて遊んだ日に買ってあげた
キーホルダーの鈴の音が
ちりん、と鳴った。
『待ってください、いま電気…』
玲於「や、ここでいい。すぐ帰るから。」
間を置いたからか
頭がちょっと冷静になってて。
靴を脱ごうとしたのをやめた
Aちゃんが振り向く。
暗闇でもわかるほど、
その表情には戸惑いが漂っていた。
玲於「…この前のこと、ごめんね。」
まず1番に言いたかったこと。
いくらアユの暴走だったとはいえ
Aちゃんに嫌な思いをさせたから。
おずおずと話を切り出すと、
俺を見つめる大きな瞳が
驚いたように見開かれた。
『いえ…そのことは全然怒ってません。
あたしこそ
連絡返さなくてごめんなさい。』
「えっ」って顔を上げる。
申し訳なさそうにしてるAちゃんの顔は
ほんとに怒ってないみたいだった。
玲於「え。…じゃあ、なんで連絡くんなかったの。」
『…それは、その、』
もごもごしながら
気まずそうに目を伏せて、そして
『…あの女の子と、
付き合うんだと思ったので。』
…え。
え、なんて。
玲於「付き合うって誰と誰が。」
『誰って、玲於くんとあの女の子が。』
玲於「え。なんでそーなんの。」
『だって、彼女になるかもって。
すごく親そうだったし…。』
待って。
俺が混乱してきた。
玲於「いや、ないから。
全然ない。地球がひっくり返ってもない。」
『え？でも…』
玲於「なんならあのあと
めっちゃきついこと言ったから
もう俺に二度と近寄ってこない。」
『え？』って
次はAちゃんが混乱してる。
玲於「…なに。
じゃあ、邪魔しちゃいけないと思って
連絡しなかったってこと？」
『はい…。』
なにそれ。
そんな理由？
玲於「じゃあ俺のこと
嫌いになったとかじゃないの。」
大きな瞳が数回瞬きして、
読めない表情のまま
俺から目を逸らした。
『…嫌いになんか、なれません。』
…なんだ。
なんだよ、もう。
『あの、』ってなんか言いかけてるAちゃんの腕を引っ張ると
身体ごと壁におしつけた。
玲於「すきだよ。」
.
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ここ丸 - 続き気になりすぎて夜も寝れないです！！お時間あれば続き作って欲しいです！お話おもしろかったです (12月11日 0時) (
レス) @page28 id: 567dedf7ba (このIDを非表示/違反報告)
小野 - うわ！！完結ですか？その後のふたりが気になります！！また機会があればエピローグみたいなのお願いします！ (11月30日 0時) (レス) @page28 id: b52f40c2b8 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 素敵なお話をありがとうございました！！ (10月24日 13時) (レス) @page28 id: 185df01673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2023年10月11日 20時
