忘れられない存在 ページ18
【Aside】
『ありがとうございました、篠崎さん。』
少し肌寒くなった
仕事帰りの夜。
取引先の会社を出ると
並んで歩く篠崎さんにぺこって頭を下げた。
『まだあたしだけだとお客さんに
十分な説明ができなくて。
フォローしてもらえて助かりました。』
篠崎「いや全然。
どうしても施工のことは
俺の方が詳しいからね。
そこは頼ってくれていいんだよ。」
人懐っこい笑顔で
ぽん、とあたしの背中を優しく叩く。
新しく就いたポジションは
怒涛の日々で。
図面を描く仕事に加えて
新しい知識の吸収や部下の育成。
施工管理もしなきゃいけないから
やることは多岐にわたる。
…まだまだ勉強しないといけないことは
たくさんあるな。
歩きながら
冷たくなった夜空を見上げた。
都会じゃ星はあまり見えないけど
夜空が澄んで見える季節になってきたんだな。
このままあっという間に冬になって
今年も終わって、ってなりそう。
仕事が忙しくて
アリサにも全然会えてないな。
今度、久々にランチでも誘ってみよう。
篠崎「家どっち方面だっけ？送るよ。」
『え。いえ、大丈夫です。
ここからそんなに離れてないですし。』
篠崎「いいっていいって。
取引先行ってたし、経費で落ちるからさ。
今日はタクシーで帰ろ。」
…いいのかな。
ありがたいけど
男の人とタクシー乗るって、
会社の人でもなんだか気を違う。
返事に困っているうちに
もう篠崎さんが手をあげて
タクシーを停めていた。
ーねぇ。
お願いだからもーちょっと警戒心持ってよ。ー
『ーーっ。』
なんでいま、思い出しちゃうの。
篠崎「どうしたの、早く乗って。」
『…あ、はい。』
…もう、ずっと忘れてたはずなのに。
頭をふるふる、と振って
篠崎さんとタクシーに乗り込んだ。
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ここ丸 - 続き気になりすぎて夜も寝れないです！！お時間あれば続き作って欲しいです！お話おもしろかったです (12月11日 0時) (
レス) @page28 id: 567dedf7ba (このIDを非表示/違反報告)
小野 - うわ！！完結ですか？その後のふたりが気になります！！また機会があればエピローグみたいなのお願いします！ (11月30日 0時) (レス) @page28 id: b52f40c2b8 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 素敵なお話をありがとうございました！！ (10月24日 13時) (レス) @page28 id: 185df01673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2023年10月11日 20時
