ばいばい ページ16
【Aside】
アリサ「あーあ。
Aとライブ来るのも今日で最後かぁ。」
開演前だというのに
既に会場が熱気に包まれている。
アリーナの中央ステージ最前列だというのに
隣に座ったアリサがしょんぼりと首をもたげた。
『そんな顔しないで。
もうすぐ始まるんだから。』
そう言ってみるけど
「うぅー。」ってやさぐれながら
まだ口をへの字にしてる。
…まあ始まったらまた元気になるんだろうけど。
あらためて会場を見渡す。
アリーナから見る客席全体はいつも以上に
特別な空間に感じた。
これで最後だと思うと
寂しいような 苦しいような。
…複雑な気持ちだな。
自分で決めたくせに
いざってなると名残惜しい。
想いにふけっていると、
バッと会場が暗転する。
響き渡る歓声。
沸き立つ会場と
流れ出した音楽に鼓動が高鳴っていく。
メンバーが登場して
歌が始まると
さっきとは、うってかわって
「きゃーって」言いながら
アリサが楽しそうに手を振ってて。
よかった、ってほっと一息ついてから
あたしも前を向いた。
…今日は玲於くんを見ないようにしたい。
見てしまうと、
どうしても目に焼きついてしまう。
きっと最後の姿を
何度も思い出して
苦しくなってしまうと思うから。
それでも
無意識に目がいってしまって
その度に、ふるふると頭を振った。
だめだめ。
今日は最後のライブを楽しむんだから。
会場の雰囲気とか
ボーカル2人の歌声とか
全体のパフォーマンスとか、世界観とか…。
玲於くんを中心に
見ちゃいけない。
見たら、余計につらくなる。
人知れず目を瞑って深呼吸する。
心を決めて、
まっすぐ前だけを向いた。
『…ありがとう。』
小さな呟きは
歓声と音楽にかき消された。
最初はほんとにただの付き添いで、
曲もメンバーの名前も
何もわからなくて。
繰り返しライブに行くうち
だんだん楽しいと思えるようになって
アリサに教えてもらって
曲も色々聴くようになって。
玲於くんと知り合ってからは
あたしの世界も変わり始めて。
もしかしたら、
いつのまにか
あたしの世界は玲於くんを中心に
まわってたのかもしれないな。
なにもかもが
初めてで 楽しくて 特別だった。
ありがとう 玲於くん。
…ばいばい。
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ここ丸 - 続き気になりすぎて夜も寝れないです！！お時間あれば続き作って欲しいです！お話おもしろかったです (12月11日 0時) (
レス) @page28 id: 567dedf7ba (このIDを非表示/違反報告)
小野 - うわ！！完結ですか？その後のふたりが気になります！！また機会があればエピローグみたいなのお願いします！ (11月30日 0時) (レス) @page28 id: b52f40c2b8 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 素敵なお話をありがとうございました！！ (10月24日 13時) (レス) @page28 id: 185df01673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2023年10月11日 20時
