花束 ページ2
【Aside】
玲於「タクシー、来たって。」
お客さんのいなくなった2人きりのbar。
結局、あれから2人とも帰らなくて。
事情を察知したマスターが
お店を閉めて2人にしてくれた。
それでもいつまでもここにいるわけにもいかず
さすがに帰んなきゃ。
佐野くんの呼んでくれたタクシー
まだ来ないでって願ってたけど
とうとう到着してしまった。
『うん』って呟いて、ゆっくり立ちあがる。
キスのあと、
2人ともあまり言葉は交わさなかった。
お互い何を話していいかわからなかったんだと思う。
だってきっと
何を言っても
誰も幸せになんてなれないから。
どちらにも、祝福される未来はこないから。
大人になったあたし達は
もう、
無責任に夢見がちなことは言えない。
現実に引き戻されたくなくて、黙ってた。
でもその間もずっと
佐野くんはあたしの手を繋いでくれてて
佐野くんのぬくもりがほっとした。
入り口のドアのところまで歩いて、
『お見送り、ここでいいよ』って振り返る。
だってきっと
佐野くんはまたタクシーが見えなくなるまで見送ってくれる。
そんな姿を見ながらのお別れなんて
今のあたしに出来る気がしないんだもん。
玲於「…俺、ちゃんと忘れるから。」
『…え？』
玲於「や、忘れるって言い方がよくないよね。
なんつーか…
Aちゃんのことは忘れないけど、
こういう気持ちは忘れるから。」
こういう気持ち…
それは、少しでもあたしと同じ気持ちでいてくれたってこと？
それとも
友達の彼女に手を出してしまった出来心に対する後悔や罪悪感から、そう言ってるのかな。
『…うん。わかった。』
前者の方なら、いいな。
玲於「…もし、」
ドアを開けようとした手が止まる。
玲於「もし…
もう一度会えたとき
Aちゃんの気持ちが少しでも俺にあったら、」
言いながら佐野くんが差し出した右手には
かわいいリボンで結ばれた花束。
その花は、カウンターに並んでたのと同じで
ピンクや白、黄色が鮮やかにまとめられてる。
玲於「そんときは、俺んとこ来て。」
花束を受け取って、
泣きそうになりながら佐野くんを見上げる。
だって
この花束にそんな言葉
まるでプロポーズみたいで。
佐野くんは
今までで1番、優しい笑顔で
「じゃあね。」って
身を翻して、お店の奥に戻っていった。
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まぁ(プロフ) - ぴなたまごさん、完結おめでとうございます！そしてお疲れ様でした。私はぴなたまごさんの玲於君が本当に大好きなので、また気持ちと時間に余裕が出来たら新しいお話で玲於君を書いていただけたら嬉しいです！今回もグッとくるお話、ありがとうございました！ (2018年6月15日 16時) (
レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - とてもいい作品でした(T^T*) (2018年6月12日 20時) (レス) id: 527ff0df55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2018年6月5日 20時
