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部屋を飛び出し、エレベーターには乗らずに階段で1階まで降りる。
エントランスを出たところで、駐車場の隅に見覚えのある車が視界に入った。
運転席に座っている人物と目が合う。
神谷刑事だ。
訝しげに私が車まで近付けば、彼は運転席の窓を下ろして気怠そうに私を見やる。
その表情をしたいのは私の方なのだけど。
「私に何かご用ですか」
こんな朝っぱらから、警察の顔を見ることになるなんて。
「お気になさらず」
「私が見張られている意味が分からないんですけど」
「上からの指示なので」
それ以上話すことはない、と言いたげな、ツンとした対応だった。
癪に障るので、また余計なことを言ってしまう。
「お暇なんですね。警察の方々って」
これしきの煽りで、感情を露わにするような人ではない。
崩れない横顔が、私の言葉に拍車をかける。
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千春 - 更新楽しみにしてます! (2022年1月9日 15時) (レス) @page13 id: 5e5ecfa292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてと | 作成日時:2021年12月16日 10時