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Mite ページ28

はいっ、と手渡そうとするが
彼は無視して受け取ろうとしない。

「何で?」と、冷たいフラッペを両手で握って考えていると、彼が無言で自身の口元を指でトントン..
と軽く叩いて見せた。

飲ませてくれ、と言っているのだ。
降谷なりのおねだりか..



「えっ、れーくん、どう言う意味?」


もたもたするAに痺れを切らし、彼女の腰を
掴み運転席側に抱き寄せる。



「あっ、は、はい..どうぞ。」


密着され動きにくいが、慌てながらもなんとか彼にフラッペに刺さったストローを向けた。いつもAと重ねるその唇は今はストローを口に含み、間近で見ると何だか色気を感じてしまう。



「甘っ...まぁ、Aの方がもっと甘いけどね。」

「えっ、」


降谷は甘ったるいソレを一気に口へ含み飲み込むと、極自然な流れでAにキスを落とす。
あまりにも自然で当然のような振る舞い。
その手慣れた感を否めないA。


「Aは、本当に鈍いなぁ..」


やれやれと息を吐きながら、愛車にエンジンをかけ
車道へと再び発進させた。




「ほら、見てごらん。眺めが綺麗だぞ。」

キスした事はさて置き、さっさと次の話題に行く降谷。

「わぁ!!凄いね!」



何処までも続く、青い風景。
眩しい太陽の光を受けて、小さくキラキラと壮麗なまでに輝いている。

「風が気持ちいいよ。」と、彼が窓を少しだけ開けてくれた。彼方から聞こえてくるさざ波の音。
それはいつまでも鳴り止む事はなく、穏やかに
2人の元へ届けられる。

清らかな潮風で完全に目がさめる。



「ずっと..Aと一緒に来たいと思ってたんだ。」

「ありがとう!零君..私も一緒に来れて、嬉しいよ。」


まだ春を迎えていないこの季節。
だけど、2人で感じる潮風は心地良くて堪らない。







..







「A、着いたよ。」

「んっ、着いたの?」

「あぁ、外...寒いからこれ着て。」

彼は後部座席へ手を伸ばし、何やらガサガサと音を立てていた。ほら、と渡されたのは彼のダークグレーのコート。見るからに、値のはりそうな仕立て具合だ。


車から降りると、 “ 恋人岬 ” と彫られている
モニュメントが目に入った。


「ほら、こっち。」


よそ見をするAに大きな手が差し出された。
もう片方には、見知らぬ紙袋が下げられている。




..




「このベンチに座ろう。少し..話してもいいかな?」

「うんっ、」

返事をしながら、彼のコートを広げて
仲良く2人で身を寄せ合った。

*→←*



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設定タグ:降谷零 , 安室透 , 名探偵コナン   
作品ジャンル:アニメ
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やっち(プロフ) - 良かったです。すれ違いが凄かったけど最後は結婚出来て良かった! (2022年8月4日 6時) (レス) @page49 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - salomeさん» こんにちは!続編のご希望頂きまして有難う御座います(^^)ゆっくりではありますが、只今準備させて頂いてます♪新作と続編、一旦同時にリリースしたいと思っております(*^ω^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 華花。さん» 初めまして!誤字脱字などお見苦しい点など多々あったにも関わらず、その様に仰って頂き嬉しい限りです(^^)やっぱり自分の好みは中々変えれず、新作も同じ様な雰囲気の作品かもですが宜しくお願い致します(*^o^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 星の桜さん» 有難う御座います!最高と言って頂けてとても嬉しいです(^^)短編もご希望頂いて俄然創作意欲が湧きます!只今準備中なのでもう少々お待ち下さいませ(*^o^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
salome(プロフ) - 完結おめでとうございます出来たら出産の後の2人目の子育てやハロが降谷家に来た話とがいっぱい書いてほしいです (2019年6月6日 13時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ポポロン | 作成日時:2019年4月14日 4時

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