* ページ18
「...ただし、間に合えば..だがな?」
「えっ、」
不敵な笑みを浮かべた降谷に、風見の背筋が凍る。
..
僅か5分前―――
「降谷さん、大変です!Aさんが...今日、日本を発つそうです。」
「はっっ!!?」
思わず盛大にブレーキをかけそうになった。
それ程までに驚きと動揺を隠せない。
「今、由美さんから連絡があってまたフランスへ行くそうです。しかも今度はいつ日本に戻ってくるかも分からないみたいで..」
くそっ..なんでだ。
どうして、そうやって..
俺から離れたがるんだよ!
「...っ、なんで..だよ。」
「降谷さん..」
「由美さんや美和子さんも誰も知らなかったみたいです。突然今日発つとだけ連絡があったそうで..」
「...」
「14時20分発のパリ行きの便です。飛ばせばまだ間に合います。早く空港へ向かいましょう?」
降谷はすぐに腕を少し伸ばし、スーツの袖からチラッと見える時計の針を確認する。
「搭乗時間の事を考えると....ギリギリだな。」
ため息交じりの声に風見が反応すると、
「降谷さんなら余裕ですよね?馬鹿高い修理代..肩代わりしてるんですから、しっかり走って貰わないと困ります。」
眼鏡を光らせながら挑発してくる部下に、降谷もそれに応えようとする。
「んっ?言ったな?風見..何があっても知らないからな。」
「いやっ、そのっ..」
心の中で激しく後悔するも、もう遅かった..
数分後には、揺れる車内で青ざめる自分がいたのだった。
..
「降谷さんっ!」
ゼイゼイと息を切らしながら全力疾走して来る部下。降谷と風見を中心に、その他公安の部下数人がその声に反応する。今後の手筈を確認していたのだ。
男達が到着したのは、空港の広い広いロビー。
この場所特有の賑わいは、屈強なスーツ姿の男達の存在をかき消す程だ。
幸か不幸か...Aが搭乗予定の便は、機体のトラブルにより大幅な遅延が生じていた。
復旧のメドも何も分からない状態。
故にまだ搭乗手続きは始まっていない。
「Aさんはまだ保安検査、出国審査は
受けていないようです。」
「そうか...」
「降谷さんはこのまま保安検査の入り口付近で待機してて下さい。その間、我々がAさんを捜して来ます!」
「そうですよ!俺達がすぐに見つけて来ますからっ。」
「期待しないで待ってる。」
部下達に私情で困惑する自分を悟られたくないのか少し俯きながら..けれど返事をする唇は少し口角が上がっていた。
800人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - 良かったです。すれ違いが凄かったけど最後は結婚出来て良かった! (2022年8月4日 6時) (レス) @page49 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - salomeさん» こんにちは!続編のご希望頂きまして有難う御座います(^^)ゆっくりではありますが、只今準備させて頂いてます♪新作と続編、一旦同時にリリースしたいと思っております(*^ω^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 華花。さん» 初めまして!誤字脱字などお見苦しい点など多々あったにも関わらず、その様に仰って頂き嬉しい限りです(^^)やっぱり自分の好みは中々変えれず、新作も同じ様な雰囲気の作品かもですが宜しくお願い致します(*^o^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 星の桜さん» 有難う御座います!最高と言って頂けてとても嬉しいです(^^)短編もご希望頂いて俄然創作意欲が湧きます!只今準備中なのでもう少々お待ち下さいませ(*^o^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
salome(プロフ) - 完結おめでとうございます出来たら出産の後の2人目の子育てやハロが降谷家に来た話とがいっぱい書いてほしいです (2019年6月6日 13時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ポポロン | 作成日時:2019年4月14日 4時