＊ ページ48
「そうなんですね。」
愛依は腑に落ちないのか、紙コップに揺らめく漆黒の水面を一点に見つめ、一気に口に含むと最後まで飲み切った。そして小さく息を吐くと、
「じゃあ、Aさんは..好きですか？降谷さんの事？」
「えっ！な、な、なんで私が降谷さんをっ！？そ、そんな事ある訳無いでしょ！」
当たり前だ。『はい、そうなんです。』と、
入ったばかりの新人に、本心を言える訳が無い。
さっきからおかしな事ばかりを聞いて来る愛依。
Aは、対応に苦慮しながらも不要な演技に努めた。
「よかったぁ..」
「っ！？」
「Aさんも降谷さんの事、好きだったらどうしようかって、焦っちゃいました。」
「もっ？」
思わずAは紙コップを握り潰してしまうところだった。勢い良く揺れたブラウンの液体はAのスーツに飛沫し、シミがゆっくりと滲んで行く。
拭う事の出来ぬこの不安。愛依には、終始驚かされてばかりだ。
「私..降谷さんを振り向かせて見せます。きっと。」
愛依の決意はまだ続く。
「すみません、Aさん。驚かれたでしょう？
私みたいな新人が降谷さんの事語って。別に昨日今日の事じゃないんです。」
「..もしかしてお知り合い？？」
Aの心臓が早鐘の様に、一気に脈を打つ。
その緊張と息苦しさにより、胸元に汗がつたって行くのを不快に感じていた。と、同時に嫌な憶測が頭の中で飛び交う。
「まぁそんな所です。Aさん、警察関係者の間では降谷さんは有名なんですよ？降谷さんに、憧れや好意を寄せる方は沢山いらっしゃると聞いてます。けれど、私も振り向いてもらえる様に善処する次第です。」
「あっ..うん。そ、そうなんだ..降谷さんモテるからね。」
あぁ..確かに。彼に好意を抱く女性は沢山存在する。かつての潜入先にとどまらず、ここ警察庁内部も然り。降谷君を知る女性職員は彼に心奪われてしまうの。この子もその1人？？
気をつけて..
彼の甘い蜜は、危険――
気怠い甘さを匂わせるけれど、決して与えてはくれない。身を滅ぼしかねない。
「それで、Aさん。図々しいのは百も承知ですが..その、私..降谷さんともっと距離を縮めたいんです。努力は惜しみません、仕事にも支障をきたしません。だから―― 」
― Aさんにもご協力..頂けないでしょうか？ ―
人の良いAの性格を利用し、遠回しに牽制をかけて来たのか？それとも、Aを信頼し純粋に頼っただけなのか？その真意は見えない。
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ぷぅ(プロフ) - うわぁ、新人に降谷さんが好きですって言えなくて新人の恋愛に協力して下さいって言われたら私だったらこう言ったら｢何でですか？｣って理由を聞かれるだろうけど｢ごめん、無理｣って言っちゃうだろうなぁ(ノдヽ) (2019年11月7日 12時) (
レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - うわっめっちゃいい所で！更新待ってます！大好きです！ (2019年11月5日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - ヒロインが降谷さんの好きな人って分かったら婚約者(振られてるから元婚約者になるのかな？)きれいな顔をしておいて降谷さんにヒロインの事を幻滅させるような何かひどいいじめみたいな事して来そうで怖いから近づきたくない( ´-ω-) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - うわぁ、好きな人が婚約者と話してる所を見るの嫌だし、その間に入るのも嫌だなぁ( T∀T)私なら仕事があるからとかって言って逃げちゃう( ＞Д＜；)でも降谷さんはヒロインを呼んでどうするんだろう？( ´△｀) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - とっても素敵な文章と内容で、時間を忘れてずっと読んでいました！凄く続きが気になります！応援しています！ (2019年9月8日 9時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロン | 作成日時：2019年6月15日 12時
