＊ ページ38
翌朝――
荘厳な造りのホテル自慢のエントランスホール。
スワロフスキーをふんだんに用いたシャンデリアは、今は朝の光を受けなんと神々しい輝きか。
その清らかな眩しさは、降谷を朝から悩ませている偏頭痛を余計に悪化させていた。
とにかく、一刻も早くこの場を去りたかったのだ。
貴重な美術品の展示スペースには目もくれず、
早々とチェックアウトを済まし愛依と共に降谷は忌々しいホテルを後にした。
向かうは、降谷の愛車が待つ駐車場。
「零さんっ、」昨日の余韻をひきずろうと、
また愛依が降谷の腕に身を寄せる。
「こらっ、駄目じゃないか。」
愛依と距離をとる様注意する。
昨日はある程度目を瞑ったが、それ以上はもう無理だと心が静かに悲鳴をあげていた。潜入捜査でもないのに、こんな事はもう御免だ。
「僕は誰のものでもない。」
「ごめんなさい..」
愛依は素直に謝罪の意を示すと、渋々降谷の腕を解放しようとした時だった。前方から怠そうに歩む
スーツ姿の男性とすれ違う。
「降谷っ！.....さん！？」
「佐々木さん！？」
全く予期せぬ人物の遭遇に、互いの瞳が小さな点と化していた。佐々木は、調査の一環でたまたまこのホテルに用があったのだ。なんたる偶然か。
「愛依、先に乗ってて。」
「は、はいっ。」
降谷は自身の指に絡ませていた愛車のキーを、スルリと滑らせそれを愛依に渡す。それを確かに受け取ると、初めて会う佐々木に軽く会釈しその後は
背筋を曲げる事無く堂々と立ち去った。
零さんは..
誰にも渡さない――
降谷とこのホテルに泊まった事で、箔が付いたこの見合い。愛にはそれが、自分への励みと自信に繋がっていた。
「降谷...Aを泣かせたいのか？」
まるで降谷の胸中を探るかの様に問う。
上司と部下では無く、かつての先輩後輩に戻ったかの様な話ぶりでもあった。
「俺が口出す事じゃない。けれど意外だな..
お前は自分の信念を貫き通す奴だと思っていた。
仕事も恋愛も...」
「佐々木さん、この事はどうか...」
ここに、いつもの威厳に満ちた降谷零は居ない。
「 “ 口外しないで欲しい ” ってか？」
淡々と降谷に言い放つ。
「遂に権力にでも迎合したか？」
優れた審美眼の持ち主である佐々木は、勿論分かっていた。降谷がそんな事をする筈が無いと。
何か事情を抱えているだろうという状況も
ある程度推察していた。
だからこそだ。
降谷の奮起を促す。
降谷とAの為に..
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ぷぅ(プロフ) - うわぁ、新人に降谷さんが好きですって言えなくて新人の恋愛に協力して下さいって言われたら私だったらこう言ったら｢何でですか？｣って理由を聞かれるだろうけど｢ごめん、無理｣って言っちゃうだろうなぁ(ノдヽ) (2019年11月7日 12時) (
レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - うわっめっちゃいい所で！更新待ってます！大好きです！ (2019年11月5日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - ヒロインが降谷さんの好きな人って分かったら婚約者(振られてるから元婚約者になるのかな？)きれいな顔をしておいて降谷さんにヒロインの事を幻滅させるような何かひどいいじめみたいな事して来そうで怖いから近づきたくない( ´-ω-) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - うわぁ、好きな人が婚約者と話してる所を見るの嫌だし、その間に入るのも嫌だなぁ( T∀T)私なら仕事があるからとかって言って逃げちゃう( ＞Д＜；)でも降谷さんはヒロインを呼んでどうするんだろう？( ´△｀) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - とっても素敵な文章と内容で、時間を忘れてずっと読んでいました！凄く続きが気になります！応援しています！ (2019年9月8日 9時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロン | 作成日時：2019年6月15日 12時
