＊ ページ21
「すみません、これをもう一杯いいですか？」
そう言って、ウェイターに直ぐに
注文を取り付けるこの男。
今野匡史(コンノマサフミ)は、現役の
警察庁次長である。
「零、君の活躍はこっちでも有名だぞ。
その若さで大したもんだ。」
「いえ..活躍だなんて。皆が頑張ってくれる
おかげですよ。」
警察庁次長は次の警察庁長官となるべき者の
ポストとして見られており、未来の長官とも言えよう。この今野と言う男は、家柄も良く鳴り物入りで入庁したとも言われている。
「うむ、その謙虚さがいつまでも大事だ。それに君の事だ、相変わらずPDCAサイクルを従順しているのだろう？働く根幹部分は、一般企業と変わらんからな。」
(PDCAサイクル...Plan計画、Do実行、Check評価、Action改善)
「はは、参ったな。お手柔らかに頼みます。」
「お待たせ致しました。」
先程のウェイターが竹で編まれたコースターとグラスを運んで来た。アロー自慢の水出しコーヒーがようやく降谷の目の前に姿を現したのだ。
「頂きます。」
そう言って、グラスに手を伸ばしゴクリと渇いた喉を潤した。雑味やエグさが殆ど無く、かなり口あたりが柔らかい印象を受ける。
今度自宅でも試してみるかと、つい思ってしまう所がまだ安室透は健在だと笑えた。
「零、たまには顔ぐらい見せに来い。愛依(あい)も会いたがってたぞ。」
「いや...僕に関わると、ろくな事無いですよ。あの組織に何年も潜入していた身。裏社会には、まだその関係者が多数存在している事も確かですから。」
「なに..構わんさ。それより、あの件考えてくれたかな？」
ある程度予想はしていたが、今野のその発言で
降谷の心臓がビクリと揺れる。
「今野さん..それについては、前にもお話しさせて頂いた通りです。」
「堅いな、零。まぁ、その容姿と優秀さだと引く手数多だろうな。」
「いえ、そんな事ありませんよ。今の自分には、仕事が全てですから。」
「...嘘だな。なんだ、他に好きな女でもいるのか？」
降谷は、この今野次長に逆らえない。
いや、恩を仇で返す事が出来ないだけだ。
それでも、自分の気持ちは決まっていた。
「それは―――― 」
僅かに言いよどみながら、返された言葉。
落ち着いた店内を浮遊する、この美しい旋律がやけに誇張して聞こえる。それは、優雅に緩やかに響くカンタービレ。
後に人は囁き始める。
あの降谷零が、
ついに権力に迎合したと―――
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ぷぅ(プロフ) - うわぁ、新人に降谷さんが好きですって言えなくて新人の恋愛に協力して下さいって言われたら私だったらこう言ったら｢何でですか？｣って理由を聞かれるだろうけど｢ごめん、無理｣って言っちゃうだろうなぁ(ノдヽ) (2019年11月7日 12時) (
レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - うわっめっちゃいい所で！更新待ってます！大好きです！ (2019年11月5日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - ヒロインが降谷さんの好きな人って分かったら婚約者(振られてるから元婚約者になるのかな？)きれいな顔をしておいて降谷さんにヒロインの事を幻滅させるような何かひどいいじめみたいな事して来そうで怖いから近づきたくない( ´-ω-) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - うわぁ、好きな人が婚約者と話してる所を見るの嫌だし、その間に入るのも嫌だなぁ( T∀T)私なら仕事があるからとかって言って逃げちゃう( ＞Д＜；)でも降谷さんはヒロインを呼んでどうするんだろう？( ´△｀) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - とっても素敵な文章と内容で、時間を忘れてずっと読んでいました！凄く続きが気になります！応援しています！ (2019年9月8日 9時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロン | 作成日時：2019年6月15日 12時
