今の俺 TH side ページ48
人が泣くのなんて何度も見たことあるし、自分だって泣いたことぐらいあるのにAの涙でどうしてこんなにも胸が締め付けられるんだろう。
TH「でも俺何にも出来なかった」
「わたしはその気持ちだけで…」
TH「ダメなんだよ!」
「え…?」
TH「気持ちだけじゃ意味ない…」
場所とか距離の問題なんかじゃなかったはず。
きっとあの時韓国にいたとしても、俺はどうしてあげることも出来なかっただろう。
それにこんなに大切なのに…好きだって分かってるのに
抱きしめる腕も涙を拭う指も想いを告げる口も揃ってるのに…
“先輩”以上に想ってくれるAがここにいない。
その事実がどうしようもなく苦しい。
勝手に好きになって勝手に苦しんでるだけなんだ、Aは何も悪くないのに。
TH「…好きだから、それじゃイヤだ。歌もラップもダンスも好き。熱心で真面目で真っ直ぐで努力家で…礼儀正しくて負けず嫌いで…色んなことに挑戦するとこだって、好きだ」
「わたしも、オッパのことすごく好きですよ」
TH「…知ってる。でも俺たちの好きは種類が違うから」
「種類?」
TH「優しいところが好き。俺の話にカワイイ笑顔で笑うとこが好き。料理上手で面倒見がよくて…好みや価値観が合って…俺は妹分のQueentetAじゃなくて、1人の女の子のAが好きだよ」
「オッパ…」
抱きしめてるからAがどんな顔しているか見れない。
だけどお互いさまで俺の顔を見られることもない。
だって今俺はきっと、すごく情けない顔をしてるから。
TH「…恋愛禁止がなかったら、俺の気持ちに応えてくれた?」
「……」
細い腕で俺の胸を押して離れたA。
視界に入ったその表情が意味するのはなに?
「…ごめんなさい」
こんな時にまで残酷な程に真っ直ぐ俺を見るAは、謝罪の言葉とは違い優しく笑って俺の手を握ってくれた。
「分からないですオッパ」
TH「え…?」
「…真剣な気持ちを伝えて下さったなら、仮定で答えを出していい話じゃないと思うから…」
ああ。Aはどこまでも真っ直ぐで眩しいんだ。
TH「…それでこそ、俺が好きになったAだ」
期待を込めてもう一度抱きしめると、Aは優しく背中を撫でてくれた。
…今は、これだけで十分。
断られなかったって、思っていいよね?(それぐらいは許されると信じたい)
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作者名:クレア | 作成日時:2017年4月30日 13時