11-06 余計なもの ページ6
■ LeeTeuk ■
何度も大丈夫だと言ってくれるAの声が、背中を摩ってくれる手が、温かい。
あいつの声に身を委ねた事を後悔出来なくなるほど安心する。
でも、安心して落ち着きを取り戻した途端に、頭に浮かんだのはウニョクの顔だった。
ウニョクごめん。今だけだから…。
そう心の中で謝ったらまた、あいつが騒ぎ出して胸を苦しく締め付けて来る。
人の事は気にするなとでも言いたいんだろう。自分の事を考えろって言いたいんだろ?
黙れ!無理なんだから…。
自然にAを抱く腕に力が入った。
僕の腕はAをこんなに求めてしまっているのに、無理なんだよ。
ウニョクの顔や皆の顔が。今までの僕が…って、頭を支配して行くんだ。
「…A・・」
身体を離して顔を見つめると、Aは何も言わずに微笑んでくれた。
頭の中に蔓延る余計なものが全て消えて行く気がした。素直に言えば、今の笑顔でかなり癒された。
「ごめんね。ありがとう。もう大丈夫だから」
Aの身体から手を離して、いつもよりももっと自然に見えるような笑顔を作って見せた。
これが作った笑顔だと気づかれない事を願いながら。
ところがAは何も言って来なくて、気づいているんじゃないかと思わせる。
「よーしっ!続きやるね!」
「ん…気をつけてね?」
僕は野菜を切る作業に戻り、Aはスープ作りの任へと戻った。
盗み見するように視線をやってみれば、Aはただ黙ってスープの鍋を混ぜたり、別の鍋に水を入れて火に掛けたり、淡々と作業をこなしている。
やっぱりバレたかな。
どうしてAには作った笑顔だと分かってしまうんだろう。頼むから気づかないで欲しいのに。
安堵感も貰って癒して貰ったのに作った笑顔を見せた理由は、“頭の中に蔓延る余計なもの”…そう思ってしまったからだ。
余計なものって。…違うよね。
僕にとって、それが何よりも大切なもののはずだ。
Aに触れて少し求めただけ。たったそれだけで今までの自分が崩れかけた。大切な物を見失いかけた。
じゃぁ…全てを求めてしまったら?
安堵感の代わりに何を失うんだろう。癒しの代わりに何が見えなくなるんだろう。
恐い。
全てを投げ打ってしまいそうな自分が恐い。自分の事ばかりになって大切なものが見えなくなりそうで恐い。
お願い。僕に鍵を返して。
お願いだから扉を開けないで。
こうしてまた、僕はあいつを心の奥底に留まらせる事に躍起になる。
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モジョ(プロフ) - >あいさん☆ 12の方にコメントしときます(*´ω`*) (2012年3月29日 21時) (レス) id: 975c5744e9 (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - >かのかさん☆ チャン・ドンゴ〜ン!アカン・・ちゃんと、チャンドンゴンの顔が出て来ない…。確か男前だったはず。気になって来たので、画像検索してみます!(笑) (2012年3月27日 22時) (レス) id: 975c5744e9 (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - >あいさん☆ 大阪には1年前まで住んでましたよ(*^^*) やから、バリバリの関西人です(笑) 今は名古屋に住んでます〜(^▽^) 他県から人が集まって来てる土地なので、色んな言語があって楽しいです(笑) (2012年3月27日 22時) (レス) id: 975c5744e9 (このIDを非表示/違反報告)
あい - パスタの女のいいお姉さん目指します!!wwヘ(゚∀゚*)ノいいですねー!!*お腹空いてきました(°∀°)wいつ頃くらいまで関西にいたんですか?\(^o^)/ (2012年3月26日 23時) (携帯から) (レス) id: dfdeea10a1 (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - >かのかさん☆ オンニ好きだよ!大好きだよ!愛してます(*´ω`*)♪ 代わりに言ってみました!でも本当にかのかオンニ大好きです〜(*ノ∀ノ)♪ (2012年3月26日 22時) (レス) id: 975c5744e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モジョ | 作成日時:2012年3月10日 21時