忘れな草の恋 11

11-38 女だったら一目惚れ ページ38

■ KyuHyun ■

10Fまで急いで来て欲しいと男に頼まれたから今ｴﾚﾍﾞｰﾀｰﾎｰﾙに向かって走っている。

“お願いします！ﾋﾟｱﾉを貸して下さい！一刻を争うんです！”

と言われたが、何のこっちゃ分からない俺は内心では苛々していた。

かなり緊張して電話したのに・・誰だか知らないけど何であんたが出るんですか！

Aは何してるんだよ。

10Fでｴﾚﾍﾞｰﾀｰを降りAの家までまた走る。

ｳﾆｮｸ兄さんが言ってたから知ってる。Aんちは俺達の家の真下だ。

家の前には背の高い男が、何かの楽器と鞄を持って立っているのが見えた。

「ｷｭﾋｮﾝさんですよね？」

ｷｭﾋｮﾝ「はい、そうです」

俺が女だったら一目惚れしそうなほどの男前で、そりゃ兄さんが落ち着きをなくすはずだと納得した。

「いきなりですみません。これ持って下さい。後でちゃんと説明しますから」

男性が持っていた鞄と一つはｷﾞﾀｰｹｰｽ、そしてもう一つはｻｲｽﾞの小さな何かの楽器のｹｰｽを持たされた。

男は少し待ってて下さいと言うと部屋の中に入って行って、次に出て来た時にはあんぐりと口が開いた。

ｷｭﾋｮﾝ「な…何してるんです？」

男が手に靴を持って、Aを抱き上げて出て来たからだ。

「歩きながら話します。ｷｭﾋｮﾝさんの家に案内して貰えますか？」

ｷｭﾋｮﾝ「え・・あ、はい」

軽々しくAを抱き上げているこの男の正体はAのﾏﾈｰｼﾞｬｰで、花田陸と言う名前らしい。

ｷｭﾋｮﾝ「あの、それ大丈夫なんですか？」

Aがさっきから何かひたすらぶつぶつ言ってるんだけど。

しかも俺に気づいてる様子がない。

何でも曲作りの集中状態に入った時はこうなるんだそうだ。

いつもは環境が整った場所にいて滅多に困る状況にならないけど、こっちの家にはこれしか楽器がないらしい。

日本のAの家の音楽部屋には何でも揃ってるんだってさ。

ﾘｸ「驚かせてすみません。本当に助かります」

優しい顔で笑うこの人の爽やかな顔と言ったら、うちの天使の非じゃない。

ﾘｸ「ｷｭﾋｮﾝさんも何か話し掛けてみて下さい。全く話が噛み合わなくて面白いですから」

今度はﾆﾔﾘと笑ったが、その顔はどことなくﾋﾁｮﾙ兄さんを感じさせる。

この人の第一印象は83ﾗｲﾝを足して2で割って、さらに兄さん達より大人にした感じだ。

ｳﾆｮｸ兄さん。正体はﾏﾈｰｼﾞｬｰでしたけど…、この男前っぷりと大人の雰囲気は半端じゃないですよ。

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