忘れな草の恋 11

11-14 返事 ページ14

■ LeeTeuk ■

昨日は結局ﾄﾞﾝﾍとは一言も話さないまま、いつの間にか寝てしまったらしい。

ﾍﾞｯﾄﾞから出て、携帯を握り締めたまま寝ているﾄﾞﾝﾍの毛布を掛け直す。

・・もう少し寝ていられるからね。

ﾘﾋﾞﾝｸﾞに出ると昨日いつ帰って来たのか、ｿﾌｧではｶﾝｲﾝが寝ていた。

それを横目に、ｺｰﾋｰを淹れるためにｷｯﾁﾝに移動する。

昨日はどういう訳かあいつの夢は見なかった。絶対見ると思っていたのにな…。

ｺｰﾋｰを淹れながらふと感じたのだが、ｷｯﾁﾝの様子がいつもと違う気がする。

なんだろ。何か違和感のような…。

何が違うんだろうと思って色々見ていたら違いが分かった。

いつもより綺麗なんだ。

ｼﾝｸやﾚﾝｼﾞ周りもﾋﾟｶﾋﾟｶだし、置いてあるものも綺麗に整理整頓されてある。

きっとAだよね。ﾗｰﾒﾝを作ってくれただけで充分ありがたいのに、こんな細かいところまで。

手を止めて自分の腕に触れてみる。

僕の腕は今もAの感触を覚えている。

昨日あいつの夢を見なかったのは僕の腕がAを求めたから？

それがあいつは僕で、僕はあいつだと認めた事になってしまった…とか？

そう自分に問うと心臓が一気に苦しくなった。

まるであいつが“そうだ”と返事をした気さえした。

もしかしたら扉が開くまで、もうあいつの夢は見ないかも知れないな。

■ EunHyuk ■

携帯の音で目が覚めて、寝ぼけながら携帯を手に取った。

「…もし、もし・・」

耳に誰の声も入って来ない。

「もしもし？」

僕がいくら声を掛けても応対がなく、おかしいなと思って携帯の画面を見ると電話じゃなくてﾒｰﾙだった。

いつもなら眠さに負けてそのまま目を閉じるけど、ｲｯくんからのﾒｰﾙだったから眠い目を擦る。

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おはよう！

昨日はありがとう。
変な話とお願いもしてしまったけど楽しかったよ！

さっきAに、ﾋｮｸに何か言ったかって聞かれたよ。

何も言ってないし、言葉の壁があってあまり話せなかったって言っといたからよろしくね！

Aに何も言ってないよな？

- IChi -

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Aが聞いて来たって事？それって…う〜ん…どういう事？

起きたばかりで頭がまともに働かない。

ｲｯくん…とりあえず僕は何も言ってないから安心して。

昨日のAの失言の事を報告した方が良いかなぁ〜。

どうなんだろ…。

ﾀﾞﾒだ…眠い…。とりあえず返事は後で良いかな。

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