忘れな草の恋 11

11-12 勝手 ページ12

■ A ■

帰って行くｳﾆｮｸの背中を見つめながら自分の頭をｺﾞﾂﾝと殴った。

……私は何を言うつもりだった？

家の中に入ってﾘﾋﾞﾝｸﾞまで入ると兄がｿﾌｧで眠っていた。

兄の体に掛かってある毛布を掛け直して、その時目に止まったﾃｰﾌﾞﾙの上の絆創膏の箱を手に取る。

指を切っていなかったらｳﾆｮｸは今日の事を私に聞いて来たのかな。

昨日の事と今日の事についてｳﾆｮｸは何も触れて来なかった。

ｳﾆｮｸなら絶対に聞いて来ると思ったのに。だってﾋﾁｮﾙにお酒を勧められた時すぐにｳﾆｮｸと目が合ったからだ。

お酒飲まないでって言って来たのに…。

触れられたくないって思ってたし、聞かれても答えられないと思ってた。

それなのに聞かれなかったら聞かれなかった で・・・寂しい？

はい？何それ。何勝手なこと言ってんの？

私は絆創膏の箱をﾃｰﾌﾞﾙの上に置き直して、もう一度自分の頭を強めに殴った。

■ LeeTeuk ■

ﾍﾞｯﾄﾞに横になっている僕とﾍﾞｯﾄﾞに座って携帯を弄っているﾄﾞﾝﾍ。

同じ空間にいても何も話さないのも別によくある事なのに、この今の微妙な空気は何なんだろう。

僕が勝手にそう感じてるだけ？

部屋に戻る時にしっかりとﾋﾁｮﾙの舌打ちが聞こえた。

ﾋﾁｮﾙは僕のためを考えてAを呼んでくれたのに。Aは僕のために大丈夫だって言ってくれたのにね。

僕は皆の事を考えてる様で、もしかしたら凄く勝手な人間なのかも知れない。

ﾋﾁｮﾙに舌打ちされても、今日あいつの夢を見ようと・・別にいい。

今日はもう何も考えたくない。

■ DongHae ■

ｼﾞﾆｮﾝから返事のmailが入って来てた。

俺はただ一回会ってみようかと言っただけなのに・・。

どうしよう…。思わずそう思ってしまうほどｼﾞﾆｮﾝが喜んでる。

今さらながら自分が少し…いや、結構悪い事をしてるんじゃないかと思えて来た。

ｼﾞﾆｮﾝ…、俺は勝手なんだ。

本当にただ…ﾓﾔﾓﾔして苛々した勢いだけでmailしただけなんだよ。

だから断ってくれれば良かったのに。

…なんて、断られる事は絶対にないと分かっている上で連絡したくせにな。

俺ってﾏｼﾞで勝手なこと言ってるよね。

俺が溜め息をつくと隣のﾍﾞｯﾄﾞで寝転がっているｲﾄｩｸ兄さんも溜め息をつきながら寝返りを打った。

互いが互いにその溜め息に一切触れる事もせず、この部屋の中に流れる変な空気感を共有する。

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