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「……あ、そうや、これ。」
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ほい、と言って渡されたのは4つ折りにされた紙。
人から見ればただの紙切れかもしれないけど、私達にとっては大事なもの。
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｢あぶな。忘れるところやったわ。笑｣
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ひとつ折り目を戻してみたら手を抑えられた。
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｢あかんよ。あっち戻ってから見て？｣
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そう言うと同時にタクシーが入ってきて、軽くクラクションを鳴らされた。
さして無い荷物をトランクに積んで、少し待って貰えるように運転手さんに頼む。
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「？どしたん？乗らないん？」
『……うん。ちょっと渡したい物がある。』
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肩掛けの小さなバッグから淡い蒼の折り紙で作られたお花を取り出す。
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『これ、開くと最初の場所が書いてあるからそこにある折り紙を見て辿っていって？』
「……。笑 なにこれ、」
『んー。見ていけばわかるから。笑』
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ま、暇な時にやってみるな？
と聞こえて、用が終わってしまえば今度こそサヨナラの時間。
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「……あらら、最後のポロポロタイムやね？」
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泣くつもりなんてなかったけど、今まで毎日会ってたから、これからは会いたい時に会えないと思ったら寂しさが溢れてきて。
止まれ止まれと心に呼びかけても止まる気配がない。
流れてくる涙を拭っていたら、ふわっ、とあのタバコの匂いに包まれた。
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「……また、ちょっとしたら会えるやん。……いや、ちょっとちゃうなぁ。」
「多分、俺もAちゃんも、体感1年とかに感じるかも知らんなぁ。この先会う時まで。笑」
「でも。絶対会えるで？てか会いに行くから。」
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だから、今はばいばいやで？
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ポンポンと頭を撫でられて、
私を抱き締めていた彼の腕が離れていった。
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『……またね。』
「…………また、な。」
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蚊の鳴くような、お別れの挨拶だった。
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青いみかん(プロフ) - ★さん» 指摘ありがとうございますm(__)m訂正しました (2017年12月10日 11時) (
レス) id: 07f408f476 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 11【こうなる事わかってくせに】→わかってるくせに では？ (2017年12月6日 17時) (レス) id: 44661be576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏. | 作成日時：2017年11月25日 21時
