20.青 ページ20
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退院の日。
昨日は荷物を纏めてその後ちびっこ達だったりお世話になった人に声をかけて回っていたらあっという間に夜になってた
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一昨日、思い出スポット巡りをして、それぞれの場所に折り紙を隠してきた。
最後の一個は流星くんに直接渡す。
ひとつずつ順番に見つけていけば、
最後のあの場所にたどり着くように誘導してある。
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ここにいた数年が、数分のことのように感じる。
来たばかりの時は絶対にこんなこと思わなかった。
自分の人生に呆れて、絶望して、
お先真っ暗な私は誰にも必要とされなくて、
いつか消えていなくなるんじゃないかって思うぐらいだった
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でも、先の未来は、もう、明るい
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廊下を抜けて、からからから、と戸を引けば
ふわりと香る花の匂い
視界に広がる、虹色
赤、橙、黄、緑、紫、桃
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｢……んぉ、もう行くん？｣
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青。
色とりどりの花に囲まれて、ベンチに座ってるのは、彼。
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『……流星くん』
「んーーっ、よく寝たわぁ」
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ふわぁ、と口を開けて、腕を天に向かって伸ばす緩いお医者さん
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「……門まで、送るわ。」
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もうすぐタクシーが来る
数時間後には自分の住んでいたマンションにいるなんて、想像ができない
もうこの病室に来ることはないだろう、少し寂しい。
少し名残惜しい
門までの道中、振り返って建物を上下左右じっくり見る
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「寂しくなったらいつでも来たらええよ」
『……来ないよ。笑』
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こちらをちらりと見た流星くんの顔は、よく見えなかったけど、多分笑ってた、
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タクシーが来るまであと10分ぐらい。
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彼といられる時間も、あと10分。
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青いみかん(プロフ) - ★さん» 指摘ありがとうございますm(__)m訂正しました (2017年12月10日 11時) (
レス) id: 07f408f476 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 11【こうなる事わかってくせに】→わかってるくせに では？ (2017年12月6日 17時) (レス) id: 44661be576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏. | 作成日時：2017年11月25日 21時
