19.溢 ページ19
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『元気ですよ。笑』
「うん、元気そう。笑」
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タバコをふかしながらこちらに歩み寄ってきて二人並んでベンチに座る
なんの前触れもなく手を繋ぐ
まるで、繋がっているのが当たり前であるかのように、自然に
流れるのは無言の時間
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「……ひょう、なにひてはん？？」
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タバコを咥えながら話すから、少し聞き取りずらい
聞き返そうと流星くんの顔を見れば、流星くんも私の顔を見ていて
する、と手が離れたと思ったらポケットから携帯灰皿を出してタバコを消してまた繋がれた
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「今日、何してたん？」
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今度こそちゃんと聞き取れて、流星くんの顔を見ながら息を吸う、吐く
今日はね、お別れの準備をしてきたの
そう言えば、少し固まるからちょっと笑っちゃったりして
はやない？なんて、あと二日だよ？
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「……そっか、もう少しでいなくなるんやなぁ」
『……うん、でも、私そこまで寂しくないよ？』
「えー、俺はめっちゃ寂しいわ」
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ぎゅっ、ぎゅっ、と手を握られるのと比例して私の心臓も
きゅっ、きゅっ、と締め付けられる
切なそうな、嬉しそうな、なんとも言えない表情でそう言うから、愛おしさしかこみ上げてこない
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『……だって、水族館が待ってるもん』
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そう言って流星くんの顔を見れば、驚いた顔をしていて
すぐにフッ、と笑顔になったとおもったら
瞬きをして、
目を開けた瞬間、
目の前は暗くて
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「…………えへ、してもうた、わ。」
『………ふ、え、ぇえええ……？』
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混乱
あれ、今の柔らかい感触ってやっぱり？
え、え？
そうと分かれば体は正直なもので、顔はどんどん赤みを得ていく
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「そうやな、水族館があったわ。でもさ、」
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「……それまでオアズケ、はちょっとしんどいわ、笑」
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「…………気持ちも聞かんと、ごめんな？伝えることも伝えてないし、でも」
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「水族館で。全部言うから。一ヶ月後に。市内の水族館で。」
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詳しくは紙とかに書いて明後日渡すな？
って言って私の頭をクシャ、と撫でて部屋に戻っていく流星くんをしばらく動けずに見つめてた
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青いみかん(プロフ) - ★さん» 指摘ありがとうございますm(__)m訂正しました (2017年12月10日 11時) (
レス) id: 07f408f476 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 11【こうなる事わかってくせに】→わかってるくせに では？ (2017年12月6日 17時) (レス) id: 44661be576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏. | 作成日時：2017年11月25日 21時
