四十一箇所目 ページ42
「じゃあAさん、船番お願いね！」
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
昨日勝手に船を飛び出したお詫びとして、あたしは一日船番をする事にした。といってもルフィに勝手に連れて行かれただけだし、本来反省するのはルフィなんだけどね。
「掃除は済んじゃったし、何をして時間を潰そうかな……」
静かな甲板の上に、あたしは一人寝転がって空を見上げる。曇り空で全体的にどんよりして見える、まるで今のあたしの心みたいだね。
「Aー！」
「……ルフィ、まだ出かけてなかったの？」
「ナミがAが心配だから俺も船番しろって言われたんだ！ 何やってんだー？」
「そっか、まあ元はと言えばあんたの責任だしね……何もしてないよ、空を見てただけ」
上から覆い被さるようにあたしの顔を覗き込むルフィは、ふーんとつまらなさそうに言い、そのままゴロンとあたしの横に寝転がる。昼間に二人になるのは初めてだけど、意味もなく緊張してしまうのは気の所為だ。
「なーA」
「……何？」
「何か話してくれよ！ 俺退屈だ」
「話って言われてもねえ……あ、じゃあ昔話でもしようか」
あたしも話上手ではないんだけどなと思いながら、昔話を披露する。ありきたりな昔話とは少し違うけど、きっと退屈しのぎにはなるだろう。
「その昔、一人の勇敢そうに見えて臆病な男がいました。その男はいつも自慢話をしていましたが、それは全て男の願望であり本当の話ではありません」
「……なんか、ウソップみてえな男だな」
「あ、バレた？ 即興で作ってみたんだけど……皆には内緒だよ？」
人差し指を口の前に立てて、しぃーっとポーズを取る。特にウソップに聞かれたら怒って長話を聞かされるだろうからね。ルフィはそんなあたしを見て、何故か落ち着かない様子で下を向き、麦わら帽子をぐっと下げる。
「ルフィ？」
「な、何でもねえ！ 続けてくれ！」
「そう？ その男にはとても大切な仲間がいました。その仲間もとても個性豊かで、その中に身体がゴムのように伸びる男がいました」
「あ、俺の事だ！」
「ふふふ、その男はとても食いしん坊でいつも仲間を振り回してばかりでした」
「うっ……」
「だけど、誰よりも仲間想いで優しい、そんな男でした。だからその後に出会う掃除屋の女は、とても感謝しているそうです」
即興で作った話の為、オチらしいものはない。あたしは話し終えるとルフィに向き直り、静かに言った。
「ありがとうね、ルフィ。今あたし凄く楽しいよ」
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ポプリん(プロフ) - 翠さん» 翠様、コメント下さりありがとうございます！ 身に余るお言葉の数々、痛み入ります。本当にありがとうございます！ 次回は短編に挑みたいと考えておりますので、是非また楽しんでいただけたらと思います！ (2023年3月28日 8時) (
レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
ポプリん(プロフ) - まおさん» まお様、コメント下さりありがとうございます！ 応援までしていただけて本当に嬉しいです！ 素敵なアイデアありがとうございます♪シチュ溜めをして短編にしようと思うので、他にもアイデアあれば是非教えてください！ (2023年3月28日 8時) (レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
ポプリん(プロフ) - きてぃーさん» きてぃー様、コメント下さりありがとうございます！ 遂に完結させることが出来ました、応援して下さり本当にありがとうございました！ (2023年3月28日 8時) (レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても素敵なお話で前から応援させていただいていました。とても好きな作品でした。お疲れ様でした。 (2023年3月27日 13時) (レス) @page50 id: 090a3776e1 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 更新楽しみにしてました！！イチャイチャや嫉妬する姿見てみたいです（ ; ; ）🌟 (2023年3月27日 3時) (レス) @page50 id: 2c8060619c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポプリん | 作成日時：2022年8月14日 18時
