ワケあり掃除屋さんは不眠症(onepiece)

三十五箇所目 ページ36

Aside

「A、いい匂いだな！」
「お風呂上がりだからね、待っててくれてありがとう」
「おう！ 飯は一人より二人で食った方がうめえからな！」
「おいおい毎回一人で勝手に食ってんだろうが！」
「こ、これからは一緒に食うんだよ！」

必死に弁解するルフィが珍しく、あたしは無意識のうちにルフィの頭を撫でていた。カッコつけたがる年頃なんだろうなと思うと同時に、少しだけ遠くに行ったような気がして物悲しさを覚えた。

「A！ 子供扱いすんなよー！ 俺は真面目に言ってるんだぞ！」
「分かってるよ。さ、早く頂こう。折角サンジが用意してくれたのに冷めちゃうでしょ？」

まだ何か言いたげなルフィをさとし、あたしは近くにあった料理をルフィの口に運んでやる。嬉しそうに口を開けて食べ始めるルフィ、余程お腹が空いていたんだね。

「うんめー！」
「ルフィが一生懸命掃除を頑張ったのと、サンジの腕のおかげだね。サンジ、急に頼んで悪かったね」
「レディの頼みならいつでも受け入れるよ。Aさんも冷めないうちに食べてね？」

ルフィの口を拭きながら食事を終え、あたしは甲板で休憩する事にした。今日はよく晴れていい天気だし、洗濯物が早く乾いて助かる。

「Aー！」
「はいはい、そんなに大声で呼ばなくても聞こえてるよ。ご飯を食べた途端に元気だね……」

後ろから勢いよく抱き締められ、あたしの安息はあっという間になくなる。それにしても本当にこの子は甘えん坊だね。

「しっしっし、捕まえた！」
「最初から逃げてないでしょ」
「だってよお……お前目を離したらすぐどっか行くじゃねえか」
「そのセリフそのまま返すよ、ナミからあんたに関する苦労話をもう何十個も聞いてるんだからね」

そういうと、ルフィは面白くなさそうにしながらもあたしから離れない。暫くされるがままになっていると、突然ルフィが立ち上がり、大声で言った。

「島だー！」

どうやら新しい島に辿り着いたようだ。そろそろ洗剤もなくなるし、新しい布でも買えたらなおいいんだけど。

「A！ 一緒に回ろう！」
「……え？」
「お前と一緒に島回りてえんだよ、ダメか？」
「それは構わないけど、みんなにも聞いてからじゃないと……」
「決まりだ！ これは船長命令だからな、絶対だぞ！」

島に上陸すると同時に、ルフィはあたしに巻き付いたまま、勢いよく船から飛び出した。
後ろからナミの怒声が聞こえる……これはまた愚痴を聞かされる羽目になるだろうね。

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