四十六箇所目 ページ47
「ずっと、僕も本当はお姉ちゃんの事を守りたいって思ってたんだ。お姉ちゃんが僕のために我慢している姿を見るたびに、僕は心が痛かった。僕だって同じようにお姉ちゃんを守りたいって思っているのに、何もできないのがずっと嫌だったんだ。でも……やっと、お姉ちゃんの事を守ってあげられる。僕にも、お姉ちゃんを守ることができるんだって、胸を張って言えるんだ。僕、嬉しいよ」
「レヤ……？ 何を言ってるの？ やめてよそんなこと……待って！」
あたしの言葉を無視して、弟はあたしの前に立つと、海軍にまっすぐ向かっていった。パンッと乾いた音がして、弟があたしの目の前で血を流して倒れた。その瞬間まで弟は笑ってたよ、最期まで。
あたしは冷たくなっていく弟の身体を抱き寄せて何度も泣き叫んだ。そんなあたしを……あいつらはただ笑っていた。あたしが命をかけて守りたかったものを、あいつらは自分たちの勝手な都合で簡単に奪っていった。今まで何度も我慢してきた怒りが、頂点に達したのを最後に、あたしの記憶は途絶えた。
気が付いた時には、その場にいた海軍全員が気絶していた。何が起こったのか、その時はわからなかったけど、そこからあたしは覇王色の覇気を使えるようになったから、これがきっかけなんだろうね。特に海軍を前にすると、無意識的に使ってしまうみたいだけど。
その日からあたしは正体を隠しながら生きることを決めた。あたしが掃除屋をしているのは、それが理由。ただの掃除屋だと名乗れば、わざわざ正体を確認されることもないし、安全に身を潜められる。弟が守ってくれた、大切な命を二度と奪われないように、守り抜いてやる……そうやって今まで生きてきたんだ。
「……これがあたしの過去、海軍を許せない理由だよ。だけどあたしは、海軍を殺そうとは思っていない、あいつらと同じことは絶対にしたくないからね。それでも、どうしても許すことはできないんだよ……これ以上あたしの大切な人を、奪われたくないから」
「A……」
「ありがとうみんな、最後まで聞いてくれて。今まで誰にも話したことがなかったから、少しだけすっきりしたよ」
「Aさん……」
「もう一つだけ、みんなにお願いしたいことがあるんだけど……いいかな？」
あたしの言葉に、みんなは黙って頷く。本当に優しい人たちだね。
堪えていた涙を溢れさせながら、あたしは目を細めて無理やり笑顔を作ると、静かにこう言った。
「次の島で……あたしを船から降ろして」
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ポプリん(プロフ) - 翠さん» 翠様、コメント下さりありがとうございます！ 身に余るお言葉の数々、痛み入ります。本当にありがとうございます！ 次回は短編に挑みたいと考えておりますので、是非また楽しんでいただけたらと思います！ (2023年3月28日 8時) (
レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
ポプリん(プロフ) - まおさん» まお様、コメント下さりありがとうございます！ 応援までしていただけて本当に嬉しいです！ 素敵なアイデアありがとうございます♪シチュ溜めをして短編にしようと思うので、他にもアイデアあれば是非教えてください！ (2023年3月28日 8時) (レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
ポプリん(プロフ) - きてぃーさん» きてぃー様、コメント下さりありがとうございます！ 遂に完結させることが出来ました、応援して下さり本当にありがとうございました！ (2023年3月28日 8時) (レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても素敵なお話で前から応援させていただいていました。とても好きな作品でした。お疲れ様でした。 (2023年3月27日 13時) (レス) @page50 id: 090a3776e1 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 更新楽しみにしてました！！イチャイチャや嫉妬する姿見てみたいです（ ; ; ）🌟 (2023年3月27日 3時) (レス) @page50 id: 2c8060619c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポプリん | 作成日時：2022年8月14日 18時
