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『三日……三日……！？どないしよう、文化祭まであと三日しかあらへん……！』
何度スマホを確認しても、日付が変わるはずもなく。
放課後、貸し切り状態の視聴覚室で、私は思う存分ため息をはいた。
例の崇裕のとんでも発言は現在進行形で、信じらへん展開を迎えている。
なんと！望美さんと崇裕、そして私がマイクを握ることになったのだった。
『どないしてこないなことになったんや……「絶対に無理です！！」って言ったんに……』
崇裕はちっとも話を聞いてくれへんし、なんか桐子先生も乗り気になって。
あろうことか、マネージャーの浜中さんまで「面白そうやな」って言い出した。
しかも望美さんが「楽しみやね」って、微笑んでくれて。
憧れの人に、あんな嬉しそうに言われて断れる人がおるのやろうか。
いや、おらへん。
『…私はただ、望美さんのライブが見たかっただけやのになぁ』
そのステージに崇裕も一緒に立つってとこまでは、大歓迎やったけど。
自分も参加することになるなんて、予想外もええところやった。
昨年の文化祭でライブに飛び入り参加して以来、地元のライブハウスで歌ったことは1度や2度やない。それなりに数を重ねてきたし、応援してくれる人たちも現れた。
やけどそれは、あくまでアマチュアレベルの話や。
『真剣に音楽をやってる崇裕はまだしも、私には…無理やで…』
望美さんから新曲のデータはすでに送られてきていて、自主練も始まってる。
今日も崇裕たちと合わせる予定やったけど、弦が切れたとかで買い出しの真っ最中や。
私だけ残ったのは、少しでも練習しておきたかったからで…。
『でも結局、一人になるとグルグル考えちゃって進まないんだよな。』
ここのところ、不整脈っぽいのが続いてるのも気になっていた。
崇裕が望美さんの新曲歌うたび、いきなり鼓動が速なったり、チリチリっとやけるような感覚を覚えたりする。こんなの初めてで、実は地味に心配になってるんや。
『ほんまに、どないしたんやろ…』
望 「ため息ついて、どないしたん？」
「それが実はあああ！？小瀧さん！うそ、ホンモノ！？」
望 「この間も思ったんやけど、如月さんは声量があるなぁ。」
褒められて嬉しい。嬉しいけど、死にそう。
ひょいっとドアから顔をのぞかせる望美さんと目があって、心臓が飛び出しそうになる。
ジーンズ姿にキャスケット、赤ぶちのメガネ。
変装ようなのか、いつもの望美さんとは違った。
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作者名：真奈美 | 作成日時：2018年4月22日 0時
