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ステージの上にいると、まるで海に漂っているみたいな気持ちになる。
でも、心細いのは最初だけ。
客席から波が押し寄せてきて、私達を遠くまで運んでくれて。その波をさらに大きなものにして、ステージから音を届ける。
『もっとずっと、みんなとこうしてたい』
自然とそんな風に思って、私は小さく首をふる。
終わりがあるから、限りがあるからいいんやよな。
今この瞬間に集中し、全てを注ぐ。
その一瞬一瞬をつむいでいくことが、生きてくってことなのかもしれへん。
あっという間にライブも後半戦。
一際大きな歓声と拍手に包まれ、望美さんがステージに上がってくる。
望 「みんな、ただいま」
望美さんの第一声に、練習でもしたように「おかえり」の声がそろう。
崇裕も私も、マイクから外して思いっきり叫んだ。
いつもは淀みなくMCもこなす望美さんが、珍しく言葉に詰まる。
『……望美さん、泣いてる……？』
大型のスクリーンがないから、客席には見えへんかったと思う。
でも斜め後ろに立つ私からは、望美さんの頬にこぼれた光る粒が見えた。
あったかそうで、どこまでも澄んだ涙やった。
望 「人生には出会いと別れがたくさんあって、立ち止まることは出来ないけど……。でもサヨナラは終わりやない、はじまりなんです」
望美さんの言葉に、気がつけば会場はしんと静まり返っていた。
凪いだ海に、新曲の名前が告げられる。
望 「……今から歌うのは、新曲になります。
聞いてください、『ハジマリノサヨナラ』」
私は今日という日を忘れない。
崇裕も望美さんも、会場のみんなも、きっと同じやと思う。
『スキキライ』に続く『ハジマリノサヨナラ』っていう神曲が生まれた、この日を
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作者名：真奈美 | 作成日時：2018年4月22日 0時
