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できるだけ目立たないように駆け寄り、私は望美さんの手を取って、半ば無理やりひっぱるようにして、職員室に緊急避難する。
望 「……Aちゃん、少し話せるかな？」
少し硬い表情を向けられてハッとする。
たぶん、というか間違いなく、新曲のことやろ。
私がコクンと頷くと、望美さんは先生達に何か相談に行って、5分もしないうちに、カーテンを閉め切った応接室へと案内された。
ソファーに深く沈まないよう、私は端っこに浅く座った。正面には望美さんが、同じように座ってる。
望 「明日のライブで、新曲歌わないってほんまなん？」
「············はい」
望美さんには直接言わんと思ってたんやけど、連絡手段がなくて。
崇裕や桐子先生から伝わるやろうからなんて、そんな風に思ってた。言い訳ばかりが頭に浮かんで、たまらず視線を落とした。
望 「Aちゃんあんね、問い詰めたい訳やないの。ただ······私の話を聞いてほしくて。」
思いがけない言葉に、私はこくりと頷いた。
望 「前にAちゃん、何で別れちゃったのかって聞いてきたでしょ？」
「あっ······。すみませんでした！」
ぶしつけな質問を謝る私を、望美さんが首を振る。
望 「そういうわけやないの。私は昔、�陲舛磴鵑鮹屬い討�ぼりにしてもうて。それも、一方的にな。なのに�陲舛磴鵑蓮悗△蠅�とう』って言って、この世界に見送ってくれた。」
「ありがとう──······」
望 「当時はすごく嬉しかったんやけど······でもね、再開して改めて思ったんや。信じてるよって言われる方が、ずっと幸せなんやって。」
一瞬、崇裕の言葉とシンクロした。
崇裕が私に伝えた言葉。
まだ、私の心で消化できてへん言葉、
望 「デビューするために上京する······。あの頃は何かを捨てて、何かを得るとか、そんな風に考えてもうてたな。勇み足になってたっていうか······。でもほんまは、そうやない。信じるっていう勇気が、ただ持てへんかっただけやの。」
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作者名：真奈美 | 作成日時：2018年4月22日 0時
