19〜崇裕said〜 ページ19
浜中さんから望美のおとんの話を聞いてから、ずっと考えてた。
どないするのかが望美にとって一番ええのか、俺には何が出来んのか？
三年前も今も、俺には一切、家の事を話さなかった望美。
彼女の選択の意味がわからんほど、もう子供やない。
だから、無理に聞き出すつもりはない。
それでも、何か力になれんのなら……
崇 「あのさ、望美……。大丈夫？無理してへん？」
望 「……どないしたの、急に」
イエスとノーとも答えへん望美に、俺はやっぱりと内心ため息をつく。
気づいてしまえば、いろんなもんが一気にクリアに見えてくる。
崇 『望美はずっとこうやって、一人でむりしてたんや』
崇 「もうあん時の俺やない、やからちょっとは頼ってなぁ」
何も言わんかったけど。
俺の言葉に、望美の澄んだ瞳が揺れた。
目をそらさずじっと見つめ返すと、ますます波立つのがわかった。
泣くのをこらえているようにも見える。
望 「────三年前やって、濱ちゃんは私の音楽を支えてくれてたで」
たっぷりと、言葉を選ぶようにして、望美が言う。
それは予想もせんかった答えで、俺は冗談やなく息が止まった。
望 「私自身も、表では年上ぶって……。裏では、分からないようにもたれかかってた」
崇 「……望美、それはちゃうで」
望 「ちがわんよ」
きっぱりと言い切り、もうこの話はおしまいとばかりに望美は笑った。
そして、深呼吸するみたいに息を吸い込んだ。
望 「濱ちゃん、もし……もしやけど、浜中さんがアメリカに連れて行きたいって、正式に申し込んできたら……どう思うん？」
望美はまっすぐに俺を見つめて言った。
崇 「めっちゃ嬉しい」
望美は真意を探るかのように、じっと俺を見てる。
その瞳は、少し揺れてた。
いつもはぶれへん望美。
強い望美。
そんな望美が今はなぜか、少しあどけなく見える。
崇 「めっちゃ嬉しい、けど……今は行けへん。」
望 「どないして？」
崇 「Aと離れたないんや。俺の音楽を支えてくれてんのはAやから」
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作者名：真奈美 | 作成日時：2018年4月22日 0時
