17〜崇裕said〜 ページ17
一昨日、望美が泊まるホテルからの帰り道。
『それぞれの道を行こう』
そして昨日、新曲を演奏する直前。
『私、望美さんと崇裕が歌ってるのを、客席からみたい。』
俺からすれば、一方的すぎる宣言やった。
いくら引き止めても、首を縦にふってくれなくて。
崇 「打つ手なし、かなぁ」
大 「濱ちゃん、それ本気で言ってんか?」
崇 「やってさー。可愛く見えても、Aって以外と頑固やで?」
大 「アホか!!!」
崇 「いってえええええ!?」
罵倒と共に、ゴンッと拳が頭上にふってきた。
これヤバないか?目がチカチカすんねんけど……。
大 「如月の気持ちも考えてやれよ。噂、俺のとこまで聞こえてきてるんやで」
涙目になりながらシゲを睨むと、もっと怖い顔がこっちを見ていた。
シゲが言う噂、その発生源は分かってる。
散々Aをいじめてくれた、自称俺の親衛隊さんたちや。
望美と一緒に俺がライブするのを聞いて、勝手に物語ができちゃったみたいや。
いわく、復縁したとかなんちゃら。
大 「如月はさ、このまま身を引くつもりやないのか?いいんか?」
崇 「……そんなんやないで」
大 「って、本人が言ったんか?どっちにしろ、迎えに行ってやれって」
シゲが心配してくれてるのは分かる。
もちろん俺やって、この状況をなんとも思ってないわけやない。
崇 『やけど、俺は……』
崇 「俺はAを信じてる」
大 「…いや、うん、そこは疑ってはないって。けど、状況が状況やろ?如月にしても、一度言ったことを撤回しにくいと思う」
崇 「それじゃあかんのや」
きっぱりと言う俺に、シゲは怪訝そうに眉をひそめる。
大 「あくまでも、如月から来いって言いたいんか?」
崇 「優しい言葉をかけることは簡単やけど、それじゃ意味がないと思う。ここを乗り越えられなきゃ、俺らはきっと……この先、またダメになる」
お互いに自分の夢と向き合っていくなら、遠からず離れることになる。それが物理的な距離だけなのか、心も離れてまうのか、ここが分岐点なんや。
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:真奈美 | 作成日時:2018年4月22日 0時