13〜望美side〜 ページ13
望 『あ、これは夢や…』
そうと気づけたのは、濱ちゃんと自分がいたから。
三年前の夏祭りでの光景が、映画のように流れている。
うぬぼれてるみたいやけど。
濱ちゃんは、私を慕ってくれていたんやと思う。
当時の彼は外見も子犬見たいやったから、中学の友達とすれ違うたびに「お散歩ですか」なんて言ってからからかわれていたのを覚えてる。
それくらい、いつもまっすぐに私へと駆けてきてくれた。
私も弟が出来たみたいで嬉しかったし、何より心強かった。
あの頃の私を支えてくれたのは、間違えなく濱ちゃんの笑顔やった。
私の家は、物心着く頃には「家庭内離婚」っていうような状況で…。
そんな両親にとって、私がスカウトされたことがトリガーになってしまった。
浜中さんが大手音楽事務所の人だとわかってから、急に親権争いが始まってしもうた。
デビューに向けて、曲を作り溜めなきゃいけない大事な時期。
家には避難場所さえ無くなって、私は日が暮れるまで外に居るようになった。
でも、引っ越ししてきてもうすぐ1ヶ月の時に、お気に入りの場所が出来たんや。
公園と住宅地を結ぶ、小さな歩道橋。
夕方になると人通りはほとんどないから歌を歌うのにちょうどよかった。
軽音部の練習が終わった後は、真っ先にそこに向かうようになっていた。
望 『そこで濱ちゃんに出会ったんよな。』
最初は、ただ横を通り過ぎただけやった。
歩道橋には先に濱ちゃんがおって、私は少し残念に思いながら公園に抜けようとした。
すれ違いざま、何気なく視線を送ると、濱ちゃんは目が真っ赤で。
彼も泣きに来ているんやって気がついた。
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崇 『行ってみようかな、文化祭…』
望 『文化祭なら、月虹学園はどう?』
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初めて話しかけた時の事は昨日みたいに覚えてる。
実は声をかける前から「濱田崇裕くん」やって確信していた。
「歩道橋の彼」がずっと心の中で引っかかっていて、流星先輩にぽろっとこぼしたら、いろんな情報の断片から、濱ちゃんやないかって話になって。
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流 『まず望美にメールして、それから濱ちゃんにも送ってみるわ。それに反応したら本人や。』
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そして流星先輩の言う通り、私は濱ちゃんと出会った。
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作者名:真奈美 | 作成日時:2018年4月22日 0時