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HRが終わり、また話しかけられる前に、逃げるように廊下に出た。
部室へと急ぎ足で向かう途中、スピーカーから校内放送を告げるチャイムが響いた。
桐 「二年七組、如月A。至急、音楽準備室まで来るように、」
機械越しでも、有無を言わせぬ迫力は変わらないらしい。声の主は、今年の春に赴任してきた、超スパルタで有名な音楽担当の桐子先生やった。
(なんで私呼び出されたんやろ？)
心当たりないが、とりあえず指定された場所へと急いだ。
恐る恐る音楽準備室のドアをノックすると、中から機嫌が良さそうな声が返ってきた。
桐 「はーい、どうぞ」
「失礼します。あの、二年七組の如月Aですけど・・・えっ？ええ！？」
ご用は何ですかと聞こうとして、飛びこんできた光景に目を白黒させてしまう。そこには桐子先生と、なぜか体操服姿の濱田くんの姿があった。
桐 「待ってたで、新入部員！」
椅子から立ち上がり、満面の笑みの桐子先生に歓迎された。
ヒールを履いているから、濱田くんと同じくらいの高さや。
『ん？この流れって・・・まさか、新入部員＝私！？』
どういうことなんやろう。まったく事情が見えへん。
チラッと濱田くんに視線をやると、先生と同じように嬉しそうに笑っていた。
桐 「入部届の方にも顧問のサインはもう済んでて、あとは、如月が署名するばっかやから。」
「あ、あの！入部ってどこにですか？」
桐 「軽音部に決まってるやない！」
「えっと、私、家庭科部に入っているんですけど・・・」
桐 「うちの学校、かけ持ちアカンなわけないやろ。」
「そうですね。って、そういう話じゃなくて！」
このままやと強制的に入部させられそうで、私はとっさに大きな声を出していた。途端に、桐子先生がギラッと瞳を光らせる。
『どないしよ、怒らせちゃったかな・・・？』
桐 「なあ、如月はさ・・・」
「は、はいっ」
桐 「長いことピアノ習ってたんやろ？なら、作曲も編曲もかじったことあるよな？」
思いがけない言葉に、反応が遅れてしまった。それでもなんとかうなずくと、いきなり両肩をつかまれた。
桐 「濱田と協力して、新曲作って！あたしが見る限り、あんたが一番適任なんや！」
「無理です！ピアノ習っているって言っても、趣味程度ですし・・・」
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作者名：真奈美 | 作成日時：2017年6月10日 0時
