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GW明けの教室は、プールの後みたいな気だるい空気で満ちてた。どんよりとした気分とは裏腹に、窓の外は今日も五月晴れや。
「ほんまくじ運なさすぎやろ。」
高二になってはじめての席替えは、濱田崇裕の隣という最悪の結果やった。唯一にして最大の救いは、前の席が智子だってことや。
「・・・智子、今日って部活に顔出せそう？」
五限が終わり、私はそっと智子の肩を叩いた。
智 「ごめん。ちょい厳しいかも球技大会の準備でー。」
「謝ることないで！もう来月やし。あ！何か手伝えることあったら言ってな？」
智 「Aってば〜！ホンマ、なんてええ子なん！」
「わあ！？ちょ、ちょっと智子！」
椅子の上に膝をついた智子が、腕を伸ばして抱きしめてくる。
智 「会えへん時間が愛を育てるとも言うんやし、私たちも大丈夫やよな？」
崇 「マジないでー。智子ちゃーん、それ俺のへの当てつけ？」
智 「あれ、崇裕くんやーん！いたの？」
崇 「いた、いた！会話にも参加してたで！なっ、Aちゃん。」
私は慌てて顔をそらし、智子のブレザーの袖を掴んだ。
智 「崇裕くん、これが答えやで。」
智子が指をさし、濱田くんが後ろを振り返った。
私も怖いもの見たさで、ついつい窓際のグループへと視線を送ってしまう。
『あれって、やっぱ睨んでるんよな。』
クラスでも一際目立つ彼女たちは、濱田崇裕のファンや。
智 「なあ、もう少し気を配れへん？」
智子が声を潜め、ジロリと元凶を見やる。
祟 「それは無理な相談やな。俺がAちゃんを好きなのは事実やし？隠れてコソコソする方が、よっぽどおかしいと思わん？」
智 「はぁ？単に自分の気持ち押し付けてるたげやない。ほんまにAのことを思うなら、時と場所を選びなさいって言ってるんや。」
言い回しこそちゃうけど、私も智子と似たようなことを訴え続けてきた。やけど、答えはいつも一緒。
祟 「Aちゃんが逃げずに俺のこと見てくれるんなら、それでもええで。」
笑顔でお馴染みの台詞を言い、濱田崇裕は私の顔を覗き込んでくる。
これやと、いくらボリュームを落としても意味がない。案の定、王子親衛隊の安永さん達から、おもしろくなさそうな声が聞こえてきた。
(思い切って無視しても、結局こうなるんや・・・)
一向に退かん濱田崇裕、彼に抗議する智子、そして、頭を抱える私。
終わりのない三角形は、担任がHRをしにくるまで続いた。
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作者名：真奈美 | 作成日時：2017年6月10日 0時
