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何より頭が痛いのは、周囲の視線が容赦なく注がれるようになってしもうたこと。
男子はそうでもないが、やっぱり女子は何かとシビアや。
女子A 「なんで崇裕くんが、あんな地味な子に？」
女子B 「王子ってば、どこがええの？」
そんな風に、背後でひそひそと話しているのを何度も聞いたことがある。
やから、私のほうが知りたいんや！！
心当たりなんて、これっぽっちもないんや！！
彼女たちにそう言えれば、どんなに楽なんやろ。
後輩A 「あーあ、ほんまショック。私、崇裕先輩に憧れて入学したのに。」
後輩B 「でもまだわからんやん。その『A先輩って人から、奪っちゃえばええんやって。」
新入生まで騒ぎ始めてしもうて、体育館は一気にうるさなってしまった。
なんなら、今すぐにでも上げたいですよ！他の人に！
ステージを見たら、智子たちが収拾をつけようと頑張っている姿が、やけに遠くに見える。
私の理想の学校生活が、穏やかな生活が・・・・
ものすごいスピードで、どんどん遠ざかっていく。
この時、気が遠くなりそうで、倒れそうだった私は予想もしなかった。
濱田崇裕と一緒に、もっとにぎやかで騒がしい生活を送ることになるなんて。
新歓が終わって、部室に行って新入生を待っていたけど、あんまり来なかった。
「部長！ごめんなさい！私のせいでこんなことになって。」
部長 「いいのよ。でも、A！チャンスよ！あの王子と付き合えるチャンスが舞い降りたのよ！」
「なんのチャンスですか！？それに付き合う気なんてありませんよ！！」
部長 「そんな！勿体無いな〜〜。案外いい男なのに。」
「優しい感じは、ありますけど。」
部長 「しかも、同じクラスになったのなら、部活で作ったお菓子をあげたら。もっと、気にいってもらえるわよ！」
「だから、気にいられたくないです！」
部長 「まあまあ。とにかく、王子と仲良くね。じゃあ、解散よ。さよなら。」
「あの、部長。クッキーもらって行っていいですか。」
部長 「もちろんよ。」
クッキーを袋に入れて、調理室を出た。
校門には、智子がいた。
「智子！」
智 「A！大丈夫だった？」
「まったくよ。あ、はい。クッキー。」
智 「ありがとう！！」
そう言って、クッキーを食べ始めた。
甘いものが大好きでたくさん食べても、全然太っていない。ほんますごい。
智 「困ったら、すぐに言ってね。」
「ありがとう。」
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作者名：真奈美 | 作成日時：2017年6月10日 0時
