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文化祭まで、残り１週間を切った。
毎年九月の第三土曜と日曜の二日間にわたって開催されるから、夏休みが明けたらあっという間で、この時期は学園全体が浮き足立った感じになる。
という私も、ずっと落ち着かない日々を送っていた。
新曲のスコアは、虫食い状態でカバンの中に入ったままや。
『崇裕くんに相談出来たらええんやろうけど…』
あの日以来、一言も交わしてへん。
自分から距離を置いてるのもあるし、それ以上に向こうから避けられてる感じやった。
『今まで、どうやって話してたんやっけ。』
席替えで隣同士じゃなくなって、ほとんど接点がないことに今さら気がついた。
話しかけてくれたのも、ネタをふってくれたのも崇裕くんで。私はといえば、会話の糸口すら見つけられず、タイミングも掴めないでいる。
智子が心配して声をかけてくれるけど、それに甘える訳にもいかへん。
自分でどうにかしないと意味がないから。
『私に今出来ることは…』
音楽の授業後
桐 「如月、ちょっとええか？」
「はい。」
桐 「如月が部活に来てへんのは知ってるけど最近、濱田まで部活に顔出してないみたいやねん。」
「え…」
桐 「言っておくけど、音楽性の違いでぶつかるなんてよくあるし、あたしはそんな事で怒ったりせえへん。毎日参加しろとも言わへん。気分が乗る、乗らへんってあるし。」
先生は肩をすくめ、いたずらっぽく「そうやない？」と聞いてくる。
私が黙って頷くのを見届けると、ふっと表情を改めた。
桐 「ただな、後悔だけはしてほしないわけや。わかる？」
背中を押す言葉に、今度は声を出して「はい」って答えた。
すると先生は「よろしい」って笑って、頭をぐしゃぐしゃに撫でてくれて…。
最後まで、ああしろこうしろとは押し付けないでくれた。
そして、一番大切なことを思い出させてくれた。
『…私、やるって言ったやん！』
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作者名：真奈美 | 作成日時：2017年6月10日 0時
