スキキライ～Takahiro.Hamada～ (ページ31)

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崇裕くんに謝らんと！そして、改めて言おう！

スキとかキライとかは置いといて、もう一度はじめからやり直すんや。

私と友達になってください、って。

「ありがとう智子、私行ってくる！」

智「頑張ってな！」

北棟の最上階にある視聴覚室までの道のりが、こないに遠く感じたことはなかった。

深呼吸を繰り返し、音を立てへんようにゆっくりとドアを開ける。

『今日は重岡くんもおる…』

一つの机を囲み、崇裕くんと二人で真剣な表情でスコアを覗き込んでた。

アレンジを決めているみたいで、ライブでも聞いたことのある曲名がとびかってる。

崇裕くんが鼻歌を歌い、重岡くんがベースで弾き直す。ああでもないこうでもない言いながら、曲が新しい姿になってく。

『すごいな、二人とも。』

すっかり見慣れたはずの横顔が、今は別人みたいや。

音楽に集中していて、そこだけ世界が隔離されてるようにも見える。

『きっと、私が来たのも気づいてへんやろうなぁ。』

心の準備がしたくてひっそりと入ったくせに、なんで寂しいなんて思ってるんやろ？勝手に距離を置いて、勝手に「壁」を感じるんやなんて、ほんまどうしようもない。

大「濱ちゃん、またやで。」

不意に重岡くんがベースを弾くのを止め、コツンとスコアを指で叩いた。

大「サビ終わりのコード、前のと同じになってるで。それ、望美さんの癖やろ。」

崇「え…。あっ、理解した。」

大「無自覚なん？気いつけり。」

崇裕くんが苦笑をこぼしたのを見て、めまいを覚えた。地面が崩れるみたいに、足がふらっとして…。

ガタンッ！

掴んでたドアを揺らしてしまい、大きな音が立ってしもうた。

さすがに崇裕くん達も気がついて、バッチリ視線があう。

崇「A！よかった、今日も来れへんかと思ってたで。」

大「如月、夏風邪こじらせたんやって？濱ちゃんが連れ回したからやよな、悪いな。」

崇「ちょっ！シゲ、何言ってんねん！俺、ちゃんと自分でも謝るし！」

大「なんや、まだ謝ってなかったんかい。」

会話の端々から、崇裕くんの気遣いが分かる。私が部活に顔を出さんかったのを上手くフォローしておいてくれたんや。