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「・・・崇裕くんに保証されてもなぁ。」
崇 「ひどいで!こう見えても俺、それなりに審美眼あるからな?」
「ああ、それなりにな・・・」
崇 「A、拾うとこはそこではないで。」
部長や智子にするみたいにまぜっかえすと、崇裕君も乗ってきてくれた。
『・・・なんや、こういう風にすればよかったんや・・・』
ちょうどええ距離感みたいもんに気づいてからは、会話も楽しくなってきた。
それこそ、駅までの道のりが短く思えるくらいに。
・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚
長袖が半袖に替わり、夜が短くなって昼が長くなっていく。
週一で顔を出している軽音部にも居場所ができた頃、学校は夏休み
突入していた。
「えっ!崇裕くん、バイトはじめたん!?」
部活帰りに寄ったドーナツ屋さんで、思わず大きな声が出た。向かいの席に座る崇裕くんが、「シーッ」と指を口に当てた。
「ごめん、でもびっくりしてもうて・・・。部活と両立させるの、大変やない?」
崇 「へーきやて。夏休みだけやし。それよりさ、明日デートせえへん?」
ズゴッ!
驚いて、ストローが変な音を立てる。いや、私自身がやったんやけど。
当の崇裕くんは、憎らしいくらい涼しい顔や。
崇 「お行儀が悪いで。しかも、驚きすぎやろ。」
「デートって、その、急に言われても・・・」
崇 「困るもんな、女の子はいろいろ準備もあるやろうし。でも、大丈夫!明日は桐子先生達に頼まれた、おつかいに行くだけやから。」
「・・・え?」
崇 「つまり、俺的にはデートやけど、いわゆる『買い出し』かな。」
これ、喧嘩売られてる?うん、確実に売られたな。
私がアワアワするのを見て、ニヤニヤするのが目的やったに違いない。
「一人で行けば?」
崇 「ごめん、ごめん。買い出しっていうのが気に食わんかった?」
「その細腕で持ちきれないって言うなら、手伝うけど。」
崇 「俺と二人っきりやと、Aが意識して断れると、思ったから。」
「そ、そんなわけない!明日の何時に、どこに集合?」
崇 「さすがA、話がわかる。それじゃあ朝十時に、駅前でよろしく。」
如月A、明日初デートの予定が出来てしまいました。
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作者名:真奈美 | 作成日時:2017年6月10日 0時