お酒の王子様〈丸井ブン太〉 ページ18
ああ、しまったと思う頃にはもう遅かった。
目の前で赤髪が揺れる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『A！お前んちで飲もうぜ！』
というブンちゃんの無邪気な発言を聞かなければ良かった。
丸井ブン太。
大学に入って出会った、明るくて食いしん坊でわがままな男。
わがままといっても、何故か許せてしまうのは彼の人柄だろう。
ブンちゃんは立海大附属の中学に通ってたらしく、その頃から名を知られるテニスプレーヤーだったらしい。
夏、大学の研究室に残り、真っ暗な夜が来た頃に中学校に侵入して飾ってあるテニス部時代の写真とトロフィーを見た。
写真に残る幼い彼は自信に満ちた可愛らしい顔つきのままで、今でも沢山の女の子を誘惑していることに彼は気付いているのだろうか。
まあ、そんなモテモテの彼は現在こんな感じなんだけど。
「A〜この鍋の形って丸いよな〜、お？丸い？丸井？」
ひゃっひゃっひゃっとお腹をよじらせて笑う彼。一体何が面白いのだろうか。
「ブンちゃん、笑いすぎ。もう飲むのやめなよ。」
「えー？Aさーん、なんだってー？」
こいつ、私をからかいやがって。
ゴクゴクと安いお酒を飲みながら、楽しそうに歌を歌い始める。
「その歌、なんの歌なの？」
「ん〜校歌。中学の部活で、見送りか何かの式でよく聞いてたんだよな〜。ひぇー懐かしい。」
と、またヘラヘラと笑い出す。
お酒が抜けるまではずっとこうなのだろうと諦めた。
それにしても、やっぱり彼にとってテニス部の思い出がとても大切なもので、今でもずっと残り続けるものなんだなと思った。
全国大会に出場した、あの時の緊張と興奮と。そして敗北と。
「私も中学、ここに通いたかったな。」
ポツリと呟いた言葉を彼はきちんと聞いていた。
「まあ、時とか場所とか何にしろお前と出会う運命だったらいいんじゃね？」
と、さっきまで笑い上戸だったくせに、割と真面目な声で、そして私の好きな自信に満ちた顔で言った。
「俺はこーしてお前といる時間、結構楽しいぜい？」
私も、私も同じだと心の底から思った。
「ありがとう。ブンちゃん、大好き。」
「大好き」というその言葉で彼が、髪色と同じくらい顔を赤らめたこと、そして、次こそはきちんと告白しようと決意したことを彼女はまだ知らない。
(決意に満たされたお酒の王子様)
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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吹雪 - すみません、真田君の漢字違います。弦一郎です。 (2022年4月17日 13時) (
レス) @page27 id: ac8fe01e1f (このIDを非表示/違反報告)
星華 - もう本当に良かったです！本当にみんなカッコよくて素敵だと思いました！応援してます。 (2018年9月8日 22時) (レス) id: b55a00a283 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - サイコーでした！！どの話も内容が濃ゆくて良かったです(*^ ^*) (2015年7月24日 22時) (レス) id: 26a2606d52 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 真優さん» 不二で書いちゃった…笑 イメージが不二でしたの！ (2015年3月19日 13時) (レス) id: 3e05b36322 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぱるミンさん» 思い立ったらすぐ行動です笑 るみんちゃんも早速見てくれてありがとう(*´ω｀*) お別れって意外と深いものですね… (2015年3月19日 13時) (レス) id: 3e05b36322 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2015年3月19日 13時
