お酒の王子様〈越前リョーマ〉 ページ17
雑誌の表紙やテレビで彼の顔はよく見ていたけれど、今実際に目の前にいると思うと不思議でたまらない。
「ねえ、聞いてる？A先輩。」
彼は大変大きくなったものだ。
私を置いて。
「んん、聞いてましたよ。ええ。」
「…嘘つき。」
越前リョーマ。
今や、世界的なテニスプレーヤーなりつつある彼は中学の頃の後輩。
私がチア部でよく応援に行っていた。
木陰で練習をサボる彼の幼い寝顔もよく覚えている。
「俺、また日本を離れるから、温泉の素みたいなの送って下さいよ。」
「本当に好きだねえ、今までも沢山送ったのに。」
日本に帰ってくる度、一緒に出かけたり飲んだりと遊んでいるわけだけど。
何度会っても、彼を遠くに感じてしまう。
昔はそんなことなかったのにな、と炭酸が効いたお酒を飲み干した。
「昔から温泉が好きなだけ。飽きないっしょ。」
「昔ねぇ…そういえばリョーマすごーく身長伸びだよね。」
同じくらいだとはしゃいでいたのに、高校、大学と歳を重ねていくうちに、彼だけ伸びていった。
「まあ、伸びるだろうとは思ってたけど、思ったより大きくなったかな。」
といたずらっ子の顔をして、背比べをするような動作をし、彼は左手を頭の上に乗せてきた。この手で世界に挑んでいるんだなあと切なく思った。
「リョーマ。」
「ん？」
だんだんと切なさが増して、泣きたくなってしまった。
お酒の飲み過ぎだ。
「置いてかないで。」
そう、自然と口から出ていた。
きっとこの言葉は彼を困らせるだろう。
迷惑だとか面倒くさいだとか言われても、それでも私はこの言葉を言わなければいけない。
「もう遠くにいかないで。」
お酒は人の本心を開かせる。
「…俺も本当は行きたくないんっすけど。」
それは彼も同じ。
「先輩を置いて日本を離れるの本当は嫌だから。」
「ついてきてよ。」
涙でぼやける視線をあげると、口を結び照れた顔の彼と小さな指輪が光っていた。
「近くで俺を支えて。」
リョーマ、手順飛ばしすぎだよ。
そう思いながら、嬉しい涙と満面の笑みがこぼれた。
(プロポーズなお酒の王子様)
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
吹雪 - すみません、真田君の漢字違います。弦一郎です。 (2022年4月17日 13時) (
レス) @page27 id: ac8fe01e1f (このIDを非表示/違反報告)
星華 - もう本当に良かったです！本当にみんなカッコよくて素敵だと思いました！応援してます。 (2018年9月8日 22時) (レス) id: b55a00a283 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - サイコーでした！！どの話も内容が濃ゆくて良かったです(*^ ^*) (2015年7月24日 22時) (レス) id: 26a2606d52 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 真優さん» 不二で書いちゃった…笑 イメージが不二でしたの！ (2015年3月19日 13時) (レス) id: 3e05b36322 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぱるミンさん» 思い立ったらすぐ行動です笑 るみんちゃんも早速見てくれてありがとう(*´ω｀*) お別れって意外と深いものですね… (2015年3月19日 13時) (レス) id: 3e05b36322 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まる | 作成日時：2015年3月19日 13時
