お酒の王子様〈切原赤也〉 ページ14
「赤也！お待たせしました！」
「あ、Aさん！もー、俺ずっと待ってたんすよ。」
「ごめんね。」
「まあ、3分くらいだけど。」
「え〜それは「待ってた」に入るのか〜？」
にしし、と大人になっても少年のように笑う後輩の赤也。
中学の頃に、懐かれて以来何気なくずっと先輩後輩の関係が続いている。
今日は2人で赤也の誕生日のお祝いをするのだ。
「もう可愛いだけじゃ許されないんだからね。」
「え〜ずっと可愛がって下さいよー。」
「まぁ、今日は？赤也の誕生日祝いだし？ちょーっとくらいのわがままは許してあげる。」
「Aさん、神！本当好き！」
ちょっとちょっと赤也くん、その好きにはどんな意味が込められているのか。
長年の疑問なのだけど、ずっと聞けずにここまで来てしまったなあ。
上機嫌な鼻歌とにこにこ笑顔を横目に、小さなため息をついた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今日は私が予約したお店で、しばし穏やかなお酒タイムだったのだけど、赤也が急に泣き出した。
初めて2人きりでお酒を飲んだから、知らなかった。
どうやら、赤也は泣き上戸らしい。
「赤也、どうしたの！泣き止んで。」
「だって、もー毎日上司はうるさいし、楽しくなーい！テニスがしてぇー！」
「し、静かにー！めちゃ目立ってるから！」
「Aさあぁ〜ん！！」
仕事の愚痴と満足にテニスができてないことを泣き喚いては、私を抱きしめて首元で泣く。
涙は少し冷たいのだろうけど、赤也に触れられている所の全てが熱いので全く感じない。
「はいはい、辛いよねえ。他に愚痴があるなら言ってごらん。ね。」
優しく声をかけてみると、赤也は一瞬泣き止んだ。
泣き止んだと思い、安堵した瞬間、
「俺、ずっと好きって言ってるのに伝わらないのももうやだ〜！鈍感！」
これにはさすがの私も言葉が発せなくて、固まった。
「Aさんのこと、ずーっとずっと好きなのに、好きだって言ってるのに、いっつも流されて！」
洪水のように、赤也の口から言葉が溢れる。
「面倒見のいい人くらいにしか思ってなかったのに、いつの間にか俺の心を占領して、でも俺のものじゃねえから、どうしようもできねえし！ああー！もう！」
そして赤也は、私に預けていた身体を起こすと、私の二の腕を掴みながら、真剣な目で
「付き合ってくれないと、離さねえよ？」
と目に涙を浮かべて静かに言った。
ああ、もう離さないで。
(離れてくれないお酒の王子様)
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吹雪 - すみません、真田君の漢字違います。弦一郎です。 (2022年4月17日 13時) (
レス) @page27 id: ac8fe01e1f (このIDを非表示/違反報告)
星華 - もう本当に良かったです！本当にみんなカッコよくて素敵だと思いました！応援してます。 (2018年9月8日 22時) (レス) id: b55a00a283 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - サイコーでした！！どの話も内容が濃ゆくて良かったです(*^ ^*) (2015年7月24日 22時) (レス) id: 26a2606d52 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 真優さん» 不二で書いちゃった…笑 イメージが不二でしたの！ (2015年3月19日 13時) (レス) id: 3e05b36322 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぱるミンさん» 思い立ったらすぐ行動です笑 るみんちゃんも早速見てくれてありがとう(*´ω｀*) お別れって意外と深いものですね… (2015年3月19日 13時) (レス) id: 3e05b36322 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2015年3月19日 13時
