59話 ページ9
としみつサイド
てつや「一年前自然消滅した元カノ」
てつやは珍しくほそぼそとそう言った。
それと同時に俺もハッと顔を思い出した。
そうだ、咲、咲っててつやはよく名前を呼んでた。
てつやにしては長い交際期間だった気がする。
一度だけ東海オンエアと面会したことがあるらしい咲さん。その日俺だけその場にいなかった。
みんなが可愛い可愛い言うから、てつや不貞腐れてたっけ。
…ああ、それで、後日写真をちらっと見ただけだから、どこかで見たことあるなあって思ったのか。
納得しながら家に帰ってAに聞いてみる。
「咲さん。咲さんって言うの」
そんなまさか。とは思ったけど、Aはたしかにそう言った。
やっぱりそうだったのか。
自然消滅した原因が咲さんの海外留学とかなんだとか聞いてたけど、今はこっちに帰って来てるのか。
へえ、そうか。と納得していたら、Aは何故か不貞腐れてお風呂に入ってしまった。
なんで不貞腐れてんだ？と思うも、ちょっと考えてすぐに分かった。
お風呂上りのAに飛びついた。
としみつ「…嫉妬してんの？」
俺が聞くと、「してない」とぶっきらぼうに返ってくる。
としみつ「したんでしょ」
「してないもん」
としみつ「ねえしてるやん」
「咲さん可愛いもんね」
としみつ「A馬鹿なの？」
「そうだよ馬鹿だよ。コロッととしみつに堕ちるんだもん」
…やべえ。可愛い。
可愛い可愛すぎる。
俺がゆっくりと腕を緩めると、顔を真っ赤にして俯く名前の鼻だけ見えて、キュンとした。
コイツ、本気で俺のこと好きなんだ。
そうした実感がやっと湧いた。
俺ら付き合ってるんだって。好き同士なんだって。
としみつ「Aの方が可愛いに決まってるやん。馬鹿」
俺が言うと、俺のことを見つめてきたA。
襲いたくなる衝動をぐっと我慢して、「Aが好きなの。俺は。それは咲さんが知り合いだったから」と思いの丈を伝えると、恥ずかしそうに、「ごめんね」と返ってくる。
…可愛い。本当に可愛い。
としみつ「やべえ。嫉妬嬉しすぎる」
「勘違いすんな」
としみつ「またまたぁ」
俺が言うと、Aは俺の腕からするっと抜けてソファにうずくまる。
その横にニヤニヤしながら俺が座るとクッションを投げられた。
「恥ずいからあっち行って」
としみつ「やだ」
Aのパジャマから伸びるすっとした白くて綺麗な明日に手を伸ばして、Aに近づく。
としみつ「…抱いていい？」
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さくら(プロフ) - 数年ぶりに占ツクで小説読もうとこちらの作品を見かけたので読ませていただきましたが、物語の展開が楽しくてお気に入りになりました。2年前で更新が停まってるみたいで、続きをまた見てみたいです。 (2020年8月29日 9時) (
レス) id: 773476652b (このIDを非表示/違反報告)
りちゃん(プロフ) - ポポロさんの書くとしみつめちゃくちゃ大好きです！！ (2018年9月15日 11時) (レス) id: d715cb7d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロ | 作成日時：2018年8月22日 14時
