番外編 [可愛い] ページ12
としみつサイド
「…はい」
としみつ「買ってくれたの」
「はい」
Aと急に頼まれた買い出し。
完全に冗談言ったことすら忘れてたアイスをAは俺に押し付けた。
クラスでも男女問わず人気者で、その飾らない性格から周りに人がいっぱい居たA。
幼稚園から一緒なのに、遠い存在になったな〜とか思ってたら、思わぬ展開でこうやって2人きりだ。
何故か死ぬほど嬉しくて、めちゃめちゃ嬉しくて、この喜びが伝わらないように隠してたら素っ気なくなってしまう。
…でも、今の状況ばかりではそんなわけにもいかなくて。
としみつ「ありがと」
自然と笑みが零れてしまった。
ていうか、笑みであって欲しい。にやけてないことを願う。
俺がガリガリくんをその場で開けて食べると、Aは俺のことをぼーっと見つめてくる。
としみつ「…欲しいの？」
「いや要らない」
俺がガリガリくんを突き出すと、凄い勢いで突き返された。
欲しいわけではなかったみたいだ。
じゃあなんでだ？…そう考えるまもなく分かった。
…ああ、関節キスか。って。
としみつ「気にしてんの？」
俺が食べながら聞くと、そっぽ向きながら答えるA。
めっちゃ可愛いなコイツ。
「してない」
としみつ「そう。じゃあ全部食べる」
「えっ」
俺が言うと、Aは少し寂しそうにこっちを向いた。
としみつ「ふっ」
「笑うな」
としみつ「気にしないで食べてみ」
Aは俺の手から恐る恐るガリガリくんを取って食いつく。
ジリジリとセミの音がして、日陰の塀に寄りかかる俺らの汗ばんだ髪を風邪がさらってく。
遠くの方の入道雲が青い空に映えている。綺麗だ。
隣でAはガリガリくんを頬張って俺から顔を背ける。耳まで真っ赤だ。首を伝う汗が色っぽい。
…なんか、すげえ可愛いと思った。
…ずっと続いたらな。
何故かそう思ったんだ。
気づいたら空を仰いでた俺は急に恥ずかしくなって地面へ視線を下ろした。
ずっと続いてたら…って何考えてんだ俺。
としみつ「…A帰ろ……ってお前！」
帰ろうとAに切り出した時Aを見たら、ガリガリくんを全部食べ終えてた。
「美味しかった」
そう言ってニカッと笑うAは、やっぱりすげえ可愛い。
としみつ「俺に買ったやつやん。それ」
「そんなの関係ない。としみつがくれたんやん」
そんなAの言葉に俺が笑うとAも笑って。
やっぱり、ずっと今が続いたらな。と思った。
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さくら(プロフ) - 数年ぶりに占ツクで小説読もうとこちらの作品を見かけたので読ませていただきましたが、物語の展開が楽しくてお気に入りになりました。2年前で更新が停まってるみたいで、続きをまた見てみたいです。 (2020年8月29日 9時) (
レス) id: 773476652b (このIDを非表示/違反報告)
りちゃん(プロフ) - ポポロさんの書くとしみつめちゃくちゃ大好きです！！ (2018年9月15日 11時) (レス) id: d715cb7d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロ | 作成日時：2018年8月22日 14時
