番外編 [少しだけ] ページ11
あなたサイド
としみつの自転車は高くて乗るのが難しい。
幼馴染で小さい頃がよーく知ってるとしみつも、こんなに大きくなったのか、と一人でただただ悔しかった。
「足短いくせによくこんなの乗れんね」
としみつ「Aよりかは長いだろ」
「…うざ！もういい降りる」
としみつ「降りれんの」
「…」
としみつに言われて少し体を傾けるも、怖くて降りれない。黙ったまま俯く。
そうしたら、無言でとしみつに手首を掴まれて、としみつの腰を掴まされた。
強引なその力と、体と体とが密着してるこのシチュエーションに、思わずドキッとした。
…なんでとしみつなんかにドキッとして。
そう思うも、気づいたら自転車をかっ飛ばされてて掴まずにはいられない状況に。
「速いっちょっと速い！」
としみつ「朝こんくらいで来てる」
「だからって今こんなに飛ばさなくてもいいじゃない！」
としみつ「早くりょうクンの元に帰りたいだろ」
「…アンタねえ…」
そう言いながらも、速いけれども安心感のあるとしみつの運転とそのガタイの良さに、身を委ねっぱなしで、思っていた時間の半分でホームセンターに着いたことにビックリした。
「…早く帰れそう」
としみつ「忘れてないよな」
「ん？」
としみつ「アイス」
「…忘れた」
としみつ「おい」
としみつから逃げるようにホームセンターの中に入ると、エアコンの冷たい風が私たちを包んで。
長居しちゃいそう。と思ったけれど、りょうくんの顔を思い出して早く学校に戻りたくなった。
急いで材料を選んで抱えてると、転びそうになった。
「きゃっ」
としみつ「危なっ」
そこをとしみつに支えられる。
その力の強さにまたドキッとした。
ゆっくり顔を上げると、顔と顔とが近くて、慌てて顔を逸らした。
としみつ「焦りすぎ」
何も言えずに立ち止まってたら、としみつは私の手から材料を全部取り上げて、レジでお金を払ってくれる。
…いつの間にこんな男らしくなったかなあ。
気づいたらぼーっとその後ろ姿を見つめてた。
としみつ「A」
「あっごめん」
私はふと我に返って、私はとりあえず目に付いたガリガリくんを手にしてとしみつのあとを負った。
「…はい」
自転車に跨っていまにも帰りだしそうなとしみつに慌ててガリガリくんを突き出す。
としみつ「買ってくれたの」
「はい」
私がグッとアイスを押し付けると、
としみつ「ありがと」
としみつは嬉しそうに笑った。
…少しだけかっこよかった。
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さくら(プロフ) - 数年ぶりに占ツクで小説読もうとこちらの作品を見かけたので読ませていただきましたが、物語の展開が楽しくてお気に入りになりました。2年前で更新が停まってるみたいで、続きをまた見てみたいです。 (2020年8月29日 9時) (
レス) id: 773476652b (このIDを非表示/違反報告)
りちゃん(プロフ) - ポポロさんの書くとしみつめちゃくちゃ大好きです！！ (2018年9月15日 11時) (レス) id: d715cb7d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロ | 作成日時：2018年8月22日 14時
