51話 ページ1
あなたサイド
去っていったりょうくんの後ろ姿を見つめてたら、としみつに顔をむにっと掴まれた。
そして、無理やりとしみつの方を向かせられる。
としみつ「こっち見て」
そんなこと言うから、思わずとしみつの目を見つめ返した。
真剣な眼差しが返ってきて、私の視線とぶつかった。
気持ちが揺らいだにも関わらず、ドキドキしてしまう。やっぱり好きだと実感する。
としみつ「行ってもいいけど。行きたかったら」
行ってもいいって言うのは、りょうくんの所へだろうか。
「…何言ってんの」
としみつ「…」
「行かないよ」
私が言うと、沈黙が続いて。
花火の音がパチパチと上空で聞こえて、胸が苦しくなった。
花火なんか見れなくて、どこか寂しそうなとしみつの顔ばかり見て。
なんでそんな顔するのよ。私だって寂しいよ。
そんなこと言える訳もなかった。
としみつ「いつまでいるつもり？ここに」
「としみつが居ていいって言ってくれたから、もう少し居させてよ」
としみつ「当たり前だろ」
花火に目を戻したあとに、ポロポロとこういう会話をした。
何も言えない私に話しかけてくれるとしみつの問いかけに答えるだけだけど、それだけでも胸がいっぱいいっぱいだった。
もう少しで最後の花火だろうか。
遠くの人だかりがざわめくのが聞こえる。
としみつ「終わって欲しくない」
「うん」
としみつ「Aは？」
「…終わって欲しくない」
私が言うと、咄嗟にとしみつにぐっと強く抱きしめられた。
私の気も知らないで、こんなに優しくして。
友だちだと思ってんのか女だと思ってんのか知らないけど、こうやって甘えて。
なのに、あなたは助けてくれなかったじゃない。
なのに、私はあなたのことがやっぱり好きなんじゃない。
としみつ「東京行って欲しくない」
「まだ行かないってば。ワガママ」
としみつ「いいじゃん別に」
「ワガママ」
としみつ「Aの事だけだから」
「うん？」
としみつ「Aだから」
「…え？」
意味深な言葉に思わずとしみつの腕から抜け出すと、としみつの真剣な目とまたぶつかった。
としみつ「Aが好きなんだよ、俺」
…これは告白でいいのだろうか。夢なんじゃないだろうか。
胸の鼓動がドクドクと激しくなっていって、苦しくて、胸のシャツを握りしめた。
としみつ「いつからか知らんけど、たぶんずっと」
ゆっくりと言葉を選ぶとしみつ。
としみつ「好きなんだよ。ずっとずっと前から」
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さくら(プロフ) - 数年ぶりに占ツクで小説読もうとこちらの作品を見かけたので読ませていただきましたが、物語の展開が楽しくてお気に入りになりました。2年前で更新が停まってるみたいで、続きをまた見てみたいです。 (2020年8月29日 9時) (
レス) id: 773476652b (このIDを非表示/違反報告)
りちゃん(プロフ) - ポポロさんの書くとしみつめちゃくちゃ大好きです！！ (2018年9月15日 11時) (レス) id: d715cb7d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロ | 作成日時：2018年8月22日 14時
