． ページ11
．
川尻さんの発言に練習室にさっきとは違った空気が漂いはじめた。なんかメラメラ？燃えてるような…
景瑚「えー！そんなん俺だってAちゃんの部屋に何回もピンポンしに行ったことあるよ」
瑠姫「それA出たの？」
景瑚「…いや、2回目から無視された」
拓実「無視されてるやん。まぁ、俺は休みの日Aと2人で映画見たことあるけど？」
純喜「は！？ちょ…なんやそれ聞いてへん！！！」
拓実「言ってないもん」
祥生「拓実くんやってるなぁ」
碧海「ていうか何が始まったん？これ」
みんなのよく分からない言い合いを眺めながらキュイキュイ笑ってる川尻さんに目線を送ると手を合わせて“ごめん”のポーズをされた。
この人絶対楽しんでる…！
純喜「そんなん言ったらぁ、俺は毎朝一緒にコーヒー飲んでるっちゅうねん！」
奨「まぁ俺も一緒にいるけどね」
純喜「ちょ！！それは内緒やん…」
翔也「はいはーい！！車移動のとき大体隣座ってる！！仲良し！！」
汐恩「うるさいから最後余ってるだけちゃう？」
豆「推しを聞いてるのに仲良しアピールは意味あるんすか？？」
瑠姫「まめ…黙っとこうバカなんだこいつらは」
わいわいと言い合う彼らはひとしきり騒いだ後、こちらを一斉に見て「で、Aは誰を選ぶの？」なんて聞いてくる。
『與那城さん…！どうすれば…』
助けを求めて隣にいた與那城さんを見ると、困ったように笑った。
奨「Aちゃんにとっておきの方法教えてあげる」
そう言って耳打ちしてきた彼の言葉に不思議に思う。これがとっておきの方法…？
『えー、私の推しは……白岩さんです』
さっき耳打ちされた言葉。
“推しは瑠姫ですって言えばいいよ”の言葉通りその名前を口にすると、騒がれるかと思いきやしーんと静まり返る。
景瑚「なんか……」
純喜「おん…」
蓮「ははっ奨くんの顔で瑠姫って言われると、なんか文句言う気も起きんよねぇ」
なぜか急にみんな飽きたらしく、いそいそと違うことをはじめた。白岩さんは意地悪な顔で「ふーん俺なんだ」なんて言ってどこかへ行ってしまった。
『與那城さんすごいです…！でもなんで』
奨「んー？単に俺が瑠姫推しってだけ」
あはは〜と笑う與那城さんになるほど、と納得した。
それから幾度となく「推し変わった？」なんて聞かれたけれどその度に『白岩さんです』と答えるのが鉄則になったのだった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほこり | 作成日時：2024年3月23日 23時
