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「ねぇ、A。
ご褒美ちょうだい」
「ご褒美?」
抱きついている私から体を離した秀ちゃんに、
もっとくっついていたかったなぁ
とちょっぴり名残惜しい。
「そう、ご褒美。
ちゅー、していい?」
「へ?」
していい?、なんて聞いたくせに
私の返事は聞かずにきれいなお顔が近づいて、
唇が重なる。
多分、触れたのは一瞬。
だけどそこに全神経が集まったみたいに、
柔らかさもあたたかさも感じとってしまって
ぽーっとしてしまった私には
とても長い時間に感じた。
スローモーションのよう
とはよく言うけれど、まさにそれだった。
「ご褒美、ごちそうさま」
ふっと笑って片方の口角をくいっとあげ、
イタズラ成功、とでも言いたげな秀ちゃん。
「ま、まだ、いいって言ってないのに…」
「だめだった?」
恥ずかしくて下を向く私の顔を、秀ちゃんは両手で包み込んで、くいっと自分の方に向かせる。
「だめでは…なくもなくもない」
「それどっち」
可愛くない私の答えに、ふはっと笑う秀ちゃん。
その顔が本当に優しくて、私も思わず
ふふっと笑ってしまった。
「秀ちゃん、大好き」
そう言って再び抱きつけば
「うん、俺も好き。大好き」
って返してくれるから、
私はもう世界一の幸せ者だぁって、その幸せをぐっと噛み締める。
どのくらいそうしていたのか分からないけれど、
秀ちゃんが「そろそろ帰るか」って手を繋いでくれたので、
私はその手をぶんぶん振って、
まるで小さい子どものようにして2人でお家に帰った。
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ねいぼ(プロフ) - 名無し35453号さん» 名無し35453号様 続けてお読みいただいて、わざわざコメントもくださってありがとうございます。今更?感ありますけど、やっとくっつきました!更新がノロノロで申し訳ありませんが、続けて読んで頂ければ幸いです。 (2020年7月19日 21時) (レス) id: 8eed9a9e69 (このIDを非表示/違反報告)
名無し35453号(プロフ) - 明智くんと主人公ちゃんが付き合えて私も嬉しいです!更新これからも楽しみにしてますね! (2020年7月17日 16時) (レス) id: 7cae96bf4e (このIDを非表示/違反報告)
ねいぼ(プロフ) - 名無し35453号さん» 名無し35453号様 コメントありがとうございます!面白いなんて、身に余るお言葉です…!!ご期待に添えるように更新頑張りたいと思います。今後もよろしくお願いします! (2020年6月30日 22時) (レス) id: 8eed9a9e69 (このIDを非表示/違反報告)
名無し35453号(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしております。 (2020年6月30日 9時) (レス) id: 7cae96bf4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねいぼ | 作成日時:2020年6月25日 23時