【田中樹サイド2】 ページ28
《声聞きたくて電話しちゃっただけだから》
樹【だから行くって】
《電話越しがいいの》
樹【なんでだよ】
《樹って電話で話してる時普段と違って声のトーンも落ち着いてるしなんか守ってくれそうな声出すじゃん？》
樹【自分じゃ分からないけれども】
なんか照れる。
《俺の女感出すじゃん》
樹【いや、わかんねぇーよ】
《あ、俺彼氏感出すじゃん？》
樹【余計分かんないわ】
《とにかく電話の声落ち着くからもう少しこのままでいい？》
樹【それは全然いいよ、なんなら電話しながら寝落ちしていいから】
《えー優しい》
樹【Aにだけな】
Aにそんな事言われたら意識して彼氏感出しちゃうんだけど。
恥ずいけど今はどんな事を言っても許してもらえそうな気がして。
《ありがとう》
嬉しそうな顔をしているのが目に浮かぶ。
樹【てかこの電話かけるの俺だけ？
他のメンバーにもかけた？きょもとか】
《かけてないよ？》
樹【みんなにもかけて誰も出ないとかで俺にきたのかなって】
めんどくさい事言ってるの自分でも分かったけど口がとまんなくて
《樹だけだよ》
ほしかった言葉をもらって安心する自分が情けねぇ。
《なんか安心するんだよね。
会ってる時とは違う感じで耳元にくる声がちょうど良いボソボソ感なの》
樹【ボソボソってそれ褒めてないじゃん。それに北斗の方がイケボじゃん？】
《確かにイケボだけど北斗だるそうにするじゃん？》
樹【ははっ確かに】
《大我は一緒に怖がりそうで余計怖くなるし》
樹【目に浮かぶわ】
《こーちは優しいけど優吾おじいちゃんに夜電話するのは悪いかなって》
樹【おいおい、いじるないじるな】
《ジェシーは騒がしすぎて寝れなくなりそうだし》
樹【間違いないね、慎太郎は？】
《夜は船舶免許やら最近なんか色々勉強してるらしくて邪魔したくないなって》
樹【結局消去法で俺じゃんか】
《優しい樹なら助けてくれるかなって♪》
樹【まぁーいいけど、俺もAの電話の声好きだし】
《チャラっ》
俺の精一杯だわ！
その後も話は盛り上がったけど結局メンバーの話ばっかしてたな。
しばらくしてついに返答がなくなった。
寝落ちしたな。微かに聞こえてくる寝息。
良かった。安心して眠れたみたいだ。
【A好きだよ、いい夢見てねおやすみ】
そうつぶやけるのは今は俺だけの特権。
Aが本当は寝たふりで俺の言葉を聞いていたらどう思うかな…密かに期待しながら電話を切った。
end
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作者名：ぽぽちゃん６ | 作成日時：2020年10月17日 12時
