イヤーカフ２ (ページ49)

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海斗「あの日、ちゃんと言えなくてごめんね。」

そう言われて蘇るのは
別れを告げられた、あの日のこと

海斗「俺もAも、全ての行動基準がお互いになってて、
　俺のために俺に合わせて変わるAを、
　あの時の俺は止める事ができなかった」

海斗「学校をサボりがちになったのも、
　俺との時間を何よりも大切にしてくれてたからなのは
　伝わってたし、俺もAとの時間が
　何よりも1番、大切だった」

海斗「このままずっと一緒にいたいって思ってた
　 A以外の人なんて考えられなかった」

海斗の言葉は、一瞬で私を過去に戻した
2人で過ごしたあの日々が走馬灯のように蘇る

海斗「でもそれと同時に俺と一緒にいたらダメだって、思った」

海斗「2人の未来を考えて、お互いのために別れた方がいい。
　そう思って自分から手を離したくせに忘れられなくて」

海斗「あの時俺が手を離さなければ、
　ちゃんと話し合ってればもしかしたら…って
　何回も考えた」

海斗「でも、どんな理由があっても
　絶対に離しちゃいけなかったその手を
　ずっと離さないで支えてくれた人が…」

話の続きで、私の様子に気づいた海斗は
少しだけ悔しそうな顔をした後

あの頃と変わらない笑顔で笑った

海斗「……はは笑、ずるいな、そんな顔して泣くなんて」

ぼやけた私の視界は、見えるもの全てを歪ませて

ずっと見たかった海斗の笑顔が
滲んで、揺らいでいた。