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あの頃の俺は目の前のことしか見えてなくて
荒削りで不器用だったけど
Aがいればそれでよかったし
Aが俺の全てだった
初めて会ったあの日、俺の前の席で
つまんなそうに外を見てた見慣れない顔
通ってた高校は近くの中学から進学してくる人が多かったから
ほとんどが顔見知りだったけど、
その知らない顔に新鮮さを覚えた
仲良くなりたくて、知りたくて
そう思った時にはもう話しかけていた
お互いに共通の趣味があることがわかってから
仲良くなるまでには時間はかからなかった
恋がなんなのかわからなかった俺でも
Aが周りとは違った特別な存在だって事は
なんとなく気づいてた
そんなある日にAは俺に、
辛い過去の話をしてくれた
今にも泣きそうな声で、それでも少しずつ丁寧に
俺に話してくれた
それを聞いた時
「俺が幸せにしたい」
心からそう思った
だから後夜祭で、俺なりの考えを伝えて
その後に気持ちも伝えて
「返事はいつでもいいから」
なんて強がって
でもAも自分の気持ちを俺に伝えてくれて
これが俺にとっては人生で初めての恋だったし
なによりも大切にしたいって思えた人だった
それからの日々は毎日が新鮮で楽しくて
今までの日々をどう過ごしていたのか
忘れてしまうくらい
俺の日常にAはあたりまえに存在して
知らなかった景色を見せてくれた
お金はあまりなかったから
遠出とかはできなかったけど
スーパーに夕飯の具材を買いに行くのも
コンビニでおでん食べるのも
公園で2人で話すのも
学校から一緒に帰るのも
特別な事なんかしなくても
一緒にいるだけで全てが楽しかった
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ゆっきー - 切なくてめっちゃ好きです!松倉くんいい感じにミステリアスでかっこいい!好き!!(笑)更新楽しみにしてます! (2021年12月29日 2時) (レス) id: 90724bbd28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぽちゃ | 作成日時:2021年9月6日 4時